古道具屋を営む彼の、雑然とした倉庫にある本棚。
ほとんどが仕事に繋がる本ばかりだ。
業者向けの市場で商品を競り落とすように買う事が多いそう。
時々は古本屋でも。インターネットで買う事はない。

おすすめの本を尋ねると、対になったような2冊「ちょく」「とくり」、柳宗悦の「民藝図鑑 全3冊」を選んでくれた。それを見るだけで、名のある骨董品よりも民具を愛でる彼の人柄がうかがえる気がする。

何気なく、「古道具屋をやめるんだったら何をする?」と聞いたら、
「えー、これしか出来ないもん。」と返ってきた。
「喫茶店とかは?」
「毎日お店にいてお客さんの相手するなんて絶対無理!」
ははは・・・確かに、店もたまぁにしか開いていない。仕入れ値よりも安く売ったりしている。まったくどうかしている!

写真&文 中村 宏子