ゆるトーク ~みつけよう、あなたにぴったりのアーユルヴェーダ~ #183 農村が抱える課題
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第183回は、農村が抱える課題について。長野県駒ケ根市できのしたりんご農園をご夫婦で営んでいる木下亜紀さんをゲストに迎えてお話しを伺いました。
農業をするようになって8年が過ぎ、以前は見えていなかったことが見えてきたという木下さん。まずは、農業従事者の高齢化、担い手不足、耕作放棄地の増加など。明るい面としては、小規模でも農業をやってみたい人がコロナあとぐらいから広まってきた印象だそうです。農地の保有に関する規制が緩和されてきつつあり、小規模な農業もしやすい環境にはなってきていること。それでも将来、国内で食料が不足する懸念があるという・・・
自然体でいられる心と体の関係を追求しながら、何事も一歩踏み出す勇気をもち経験することをモットーに日々学びを深めている。
ヨギー・インスティテュート500時間認定
作業療法士国家資格
アーユルヴェーダ学会アーユルヴェーダ・セルフケア・アドヴァイザー
仏教教師資格課程修了
全米ヨガアライアンスコース500時間(RYT500)講師
メディテーション・ベーシックコース(MBC)講師
セラピューティックトレーニングコース講師
シニアヨガ・トレーニングコース講師
ヨーガニードラ・トレーニングコース講師
見つけよう!あなたにぴったりのアーユルヴェーダ。
こんにちは。
ヨガインストラクターのアヤです。
このプログラムでは、
アーユルヴェーダの知恵に救われ続けている、ヨガインストラクターのアヤが、
毎回ゲストをお招きし、健康や美容に関する、
日常に生きる、ちょっと役立つ知恵をお届けします。
進行のサポーターをしているしちさんです。
しちです。よろしくお願いします。
yoggyairのライブストリームでは、アーユルヴェーディックヨガのクラスを
毎週日曜日の朝10:30に私、アヤが行っています。
そして、毎週水曜日の昼12:30にマイコ先生が担当しています。
季節に合わせた体のケアの知識とともに、ヨガで体を動かしていくクラスです。
また、アーユルヴェーダ料理研究家の水野香織さんによる、
アーユルヴェーダキッチンを月3回月曜日の夜19:30に開催しています。
アーユルヴェーダの食べ物やハーブのお話、そして実際のレシピについても、お話しを聞くことができるクラスです。
ぜひ、クラスでお会いしましょう。
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アヤ
今回は『農村の課題』についてゆるトークします。
ゲストはりんごのきのした農園の木下亜紀さんです。
よろしくお願いいたします。 -
木下亜紀
よろしくお願いいたします! -
アヤ
今現在ですね、 農家として実際に、農業者として活躍されておりますけれども、 その地域に根付いたからこそ見えてきた、 様々な問題とかっていうのも現に触れてるんじゃないかなと思います。
今感じている、亜紀さんの農業者から見た農村の課題について、 お話をお伺いしてもいいでしょうか? -
木下亜紀
はい。
私自身、8年前に移住するまでは、 東京にずっと住んで仕事をして暮らしていたものですから、 いざ自分が農業者になった時に、 以前は見えなかったものが少しずつ見えてくるようになってきたんですね。
そのうちの一つが、やはり農家の高齢化。
これは、もうあらゆる場面で皆さんも認識されていることだと思うんですけれども、 実態は非常に深刻でして、 今、日本の農業を担っている農業者の数って、 20年前の半分になっちゃってるんですよね。
そのうちの半分がさらにですね、 70歳以上なんです。
普通の産業で考えた時に、 例えば半導体の産業が、働ける人たち半数が70歳以上って ちょっと考えられないじゃないですか。
肉体労働なのにもかかわらず、70歳以上が半分以上なんですよね。
田舎の70歳って元気なので、まだまだバリバリ現役なんですけれども、 その70歳の人たちが10年後も同じぐらい元気かっていうと、 なかなかちょっとそうはいかないと思っていて、 だんだんだんだん皆さん引退されていくんですよね。
で、そのバリバリ現役の70代の人たちが、 バトンタッチする相手がいなくてですね、 どんどんどんどん農業者の数は減っていくばかりです。
ですので、私たちが住む地域においても、 田畑もですね、もう耕作する人がいなくて、 どうしようかっていう、 非常にペシミスティックな議論が、いつも、どんな会合でも行われてます。
ですが、若干明るい材料も少しはありまして。
一つには、小規模でもいいので農業やってみたいと思う人が、 おそらくコロナぐらい後ぐらいから、なんとなく広がってきたのかなという 実感はあります。
その形が、どんどん色々な形で多様化してきてるような気がするんです。
観光と絡め、教育と絡めたりとか、ビジネスと絡めたりとか。
もう一つが、農地の保有に関する法令がだいぶ緩和されてきてます。
以前は、結構な規模の面積が最低限のミニマムの面積だったんですけれども、 だいぶ緩和されて、小さな面積でも取得できるようになったんですね。
国レベルでの政策・判断があったためなんですけれども。
そういう意味では、小規模な農業、ゆる農業をしやすい環境にはなってきているとは 思います。
ただ、絶対数として耕作する人が足りないので、 やっぱりそこは、根本的に何かしないと、将来、国内で賄える食料が不足 してしまう可能性が高くなるのかなと。
今ですら輸入食料に頼っているにも関わらずですね、 さらに足りなくなる可能性はあるのかなぁというふうには見てます。 -
アヤ
そういう意味でも、亜紀さんのところには、 ちょっとお手伝いに来て、そしてその見返りというか、 お手伝い、お駄賃的な形で、農作物をそれぞれお土産に持って帰って、 そして自分自身の食物を確保して帰るみたいな、 なんかそういう流れっていうのが、うまくできてるように感じるんですけれども。
やっぱりそういう小さな農園でもできるとか、 実際にその農業を営んでいる方のところにふらりと立ち寄って、 そして、ゆる~く農業者の方と関わっていく。
やっぱりそういったところの農業離れ…っていったところを、 一旦防ぐ活動にはつながっていくのでしょうか? -
木下亜紀
そうですね。
夫と私がやってる非常に小さな規模の農園ですらもって言ったら 変ですけれども。
やり方によっては、様々な場所に住んでいる、 主に東京近辺ですけれども、 そういった都市部に住む人たちを、週末とか、夏休みとか春休みとか、 そういった休みを利用して遊びに来てもらって、 一緒に農作業をしてもらってっていうことを体験していただくことによって、 その農作物ってどうやって作られてるのか?っていうのを、 自分で知ることもできますし、 子供さんがいらっしゃる方なんかは、それはそれでまた別の視点でね、 いい勉強になるということで、喜ばれる方が多いんです。
お互い、私たちも、都会から来た方たちとお話をして、 いろいろなことをアップデートするきっかけにもなりますし、 お互いにとっていいことなのかなぁと思っていまして、 この動きっていうのは、 もうちょっと大きく広がっていくと、 食料生産っていう意味でも効果が出てくるのかなぁと。
例えばなんですけど…、
よくロシアで、ダーチャってあるじゃないですか。
ロシアは割と大都市に住んでても、 ちょっと近郊に、週末滞在する、別荘って豪華なものでなくて、 ほんと小屋レベルのものも含めてなんですけども、 農地付きの小さな別宅を持ってる人が多いらしいんですよね。
そういうところに行って、冬用のビーツとかじゃがいもとか、 なんかそういうものを作って、あるいはベリーをとったりとかして、 それをうまく加工して、長い冬に備えて、 食料を自分で賄うという文化が、ロシアとかヨーロッパの方は 結構あるみたいなんです。
そういうのが、やっぱり日本でも広がってったら面白いのかな~とは思います!
別荘っていうと、軽井沢に行くような、 ちょっとリッチな人たちを想像するじゃないですか。
そうじゃなくて、もうちょっとカジュアルな、 生活のための別荘みたいなね。
そういうのが広がっていったらいいのかなぁと思います。 -
アヤ
そうですね~
そしたら、その使われていない農地っていったところの活用にも うまくつながっていきそうですね! -
木下亜紀
まさにそうなんです! -
アヤ
じゃあ、その…
高齢化によって農家離れが進んでいるということも、 本当に大変な課題だったりとか問題だったりするんですけれども、 他にも多分数えればキリがないぐらい課題はあると思うんですよね。
他にも何か、亜紀さんが今ちょっと気になっている課題っていうのはありますか? -
木下亜紀
やっぱり、温暖化の問題ですね。
特にりんご農家ですので、りんごってやっぱりある程度、 気温が低いことが前提となる作物ですので、 もともとは青森とか北海道とか、東北の方で多く栽培… 長野もそうですね。
ですが、やはりここ数年の温暖化によって、 だんだんりんごを栽培する条件が厳しくなってきてます。
私たちが8年前に来た時と比べてもですね、 明らかな差があるように感じてますし、 それこそ30年、40年前からやっている方からすると、 もうとてつもない大きな環境の変化だと思います。
そのために、もちろん技術的に対応できるところは、 業界を挙げて対応してはいるんですね。
新しい品種の開発ですとか、 流通面で、より早く、冷蔵施設に持っていくとか、 早く流通に乗せるとか、色々工夫はなされているんですけれども、 言っても、もうその植物って素直なので、もうダメな時はダメなんですよね、 どんなに人間が困っても。
ですので、将来ね、私たちもりんごの木の下農園って言ってますけど、 10年後にりんご作れてるかどうかわからなくて、 そろそろマンゴーでも作ろうかなぁみたいなことを冗談では言ってたりするんですが、 それぐらい結構フレキシブルに動かないと、 難しくはなってきていますね。 -
アヤ
ちょっと私の、小さなベランダ菜園があるんですけど、 今年去年とキュウリが全く育たず(笑)
不作が続いているんですよね。
で、その一つの原因として、やっぱり温暖化。
気温が高すぎて、うまく育たないっていうのが原因なんじゃないかっていうのを、 ちょっと近くの人たちとお話はしてたんですけれども。
私の家庭菜園レベルでも課題になる被害が出ている状態で、 やはりね、本当に本格的な、その自然と付き合っている農家さん達にとっては もう多大なる影響もあるでしょうし、 本当先ほど言われたように、冷蔵施設であったりとか、 様々な技術開発とかっていったところに頼らざるを得ないっていう、 そういう環境面、資金面に関しても、やっぱりここ数年で大きく 変わってきてるんだなっていうのをちょっと感じました。 -
木下亜紀
そうですね。
それに加えてですね、実はそういう生産側の工夫ですとか、 新技術っていうのはもちろん必要なんですけれども、 消費者のマインドシフトも必要なんじゃないかなぁと思ってまして・・・ -
アヤ
それはどういう? -
木下亜紀
それはですね。
例えばなんですけども、 フジっていうりんごがありましてね、フジは、密が入るりんごっていう印象を 持ってるんですよね。
蜜っていうのは、切った時にちょっと透き通って見える部分。
あれ自体別に甘くないんですよね。
あれはもう糖の行き場所がないので、蜜化するっていう現象なんですけど。
蜜が入っていないりんごって、結構最近よくできちゃうんですよ。
うちの農園だけじゃなくてですね、 もう日本全国、結構そういうこと起きてるんじゃないかと思うんですが、 そういうのを見ると、消費者の方って「このりんごダメだ」っていう風に 判断される方も少なくない。
でも実は、糖度を検査しますと、 蜜が入ってるりんごと、蜜が入ってないりんごって、 場合によっては蜜入ってないりんごの方が、糖度が高かったりするんですよね。
でも、イメージとして、やっぱり蜜入りりんごがベストだ!って思ってると、 そうじゃないものはもうだめだ、という風に思って、そういう誤解と言いますか、 それはりんご生産者側が植え付けた誤解なのかもしれないんですけれども、 そういう意味でも、やっぱり自分が美味しいと思うものが 良いものだと思うように、消費者も考え方を少しずつ、 柔軟に変えていただかないと、満足できなくなっちゃうんじゃないかなと、 見た目とかではなくて。
ですので、温暖化とともに、今までと同じものは、 必ずしも手に入らないというくらいのメッセージを、 やっぱり農業界全体として伝えていくことも必要なのかなと。
これは別に決して、怠けるとか、そういうことを意味してるんではなくて、 お米もそうですよね。
いろんな等級があるじゃないですか。
でもその等級…、1等米とか2等米とかありますけども、 別に等が下がったからといって、味覚の面でそんな大して影響ないんじゃないか、 大してまずいなっていうことない!と私は思うんですよね。
消費者も、やっぱり自分がいい!と思うものは、 素直に受け入れていくのが、みんなにとってハッピーなのかなぁと思いますよ。
美味しいものは美味しいんで^^ -
アヤ
確かにですね。
最近、産直場とかでもB級品みたいな感じで、 ちょっと見た目は傷が入ってたりとかするけど、 でもね、味は変わりがないって言ったところで、 結構たくさん置いてるところも増えてきてますよね。
だからなんかそういったところも、 見た目によらずに、ちょっと選んで買ってみるとかで、 自分の舌を通して味わって、そして比較してみるっていったところで、 ちょっと実験的に、そういう見た目に騙されない、 己の力じゃないけれども、 そういったところを磨いていくのも、消費者としては必要なのかもしれません。
あとですね、他に何か課題みたいなのってありますか?
たぶんいっぱいあると思うんですけど… -
木下亜紀
いっぱい!いっぱいあるんですよ(笑)
そうですね…
私はたまたま女性だということもあって、 女性の視点でこの移住と言いますか、農村での生活を見ますと、 やっぱり農業って、男性目線で発展してきた部分ががあります。
もちろん女性も参画はしてきてますけれども、 いろいろな、その農村におけるいろいろな意思決定ですとか、 農業界、農協さんとかもありますし、いろいろな農業政策とかね、 市町村レベルでありますけども、 もう少し、女性の視点を取り入れて発展していけたら、と思うことはありますね。
これちょっと、地域の運営とも密接に関わることではあるんですけれども、 例えばですね…
私たちが住んでいる地区って、集会所があるんですよね。
その集会所の運営やその地域そもそも全体の運営って、 100%男性でやってるんですよ、司会、運営をね。
それで、女性に割り当てられてる仕事って2つしかなくて、 そのうちの一つが、集会所の掃除。
そして、お祭りの時のとん汁作り。この2つだけなんですよね。
ちょっと都会に住んでると、なかなか信じがたいと思うんですけれども、 例えば自治会長とか、自治会のいろいろな役員の仕事っていうのも、 女性がやることは決してないんですよ。 -
アヤ
私の住んでいる地域も田舎なんですけど、だいたい男性です! -
木下亜紀
あ、そうですか!
今の日本って、小中学校、高校、いわゆるその教育の世界では、 男女平等じゃないですか。
で、おそらく社会に出て、会社だったり役所とか、 いろんな職場がありますけれども、 そういう場でも、あんまり男女差ってないんじゃないかなぁと思うんですよね。
ところがですね、地域に一歩を踏み出すと、 ガラリと風景が変わってしまって、 いきなり男女の役割の分担がはっきりしてるんですよね。
それがね、すごく違和感があって。
よくあの…
消滅市町村ランキング?とかって時々ありますよね?
あれって何をもとに計算してるかっていうと、 多分、子どもを産める年齢層にいる女性の数が結構大事なんですね、あれね。
例えば、15歳~30歳ぐらいの女性の数とか。
その層の女性が、農村から出てっちゃったら、もうもう無理なんですよ。
帰ってこないか、よそから連れてくるか。
これは、本当に100%私の私見ですけど、 なんで女性たちは出てって帰ってこないのかな?って考えると、 色々ありますよね、都市の方が楽しいとか。
だけど、田舎帰ったって、女性の立場として、 あまりエンパワーされない地域だという風に、 ひょっとして女性陣は思っちゃってんのかな~とか思って、 自分の親とか見てると。
全部男の人が牛耳ってる社会なのでね。
なので、やっぱそういうことを考えると、私たちおばさんたちが、 もうちょっとこう地域に出てって、 おじさんたちと一緒に何かやっていかなくちゃいけないんじゃないかなって、 余計なことを考えているわけですよ。
自分がやりたいからじゃないんですよ、別に。
ただ、将来の子達、次世代の子達が、この地域で幸せに暮らしていくためには、 やっぱみんな男女ね、同じように地域に関わっていくことが大事かな と思っているんです。
これは多分ね、私東京にいたら全く気付かなかったかなと思いますね。 -
アヤ
だからこそ、あきさんのところでは、 ママ友仲間を呼んで、そして商品開発のアイディアを いただいたりとか、新しいなに事業のアイディアとかっていったところを、 生み出すって言ったところの、将来ワクワクするような、 創作活動も女性陣の中でたくさんしているように感じました。
そういった少しずつの活動っていったところが、 もしかしたらその地域に広がっていって、 今現在男性メインの、そういう社会構成とか、 社会運営の流れって言ったところから、本当に共存して共に生きていく、 力を合わせて生きていく。
その地域の強みみたいなところにつながっていきそうな気がしますね。
やっぱり今の若い世代からちょっとずつ関わっていただけるような環境づくり といったところに、まさに今取り組まれてる最中なのかなっていうふうに感じます。 -
木下亜紀
はい、確かにそんな感じですね~ -
アヤ
本当に少しずつ、 そういう思いの人達っていうのがつながっていって、 まずはやっぱり私たちのような都会の人が週末田舎に行って、 そして自分の食料を確保する、 そしてその地域の人たちと交流して、 そしてやっぱりその食べ物のありがたみっていったところを、 改めて考えていくっていったところから、 何か行動を、私たち一人一人の行動が変わってくるんじゃないかな、 というふうに感じました。
本当に真剣な課題って言ったところに、 今まさに向き合っている最中だと思うんですけれども、 そうした生きた意見、お話をお伺いできて、 本当に私自身も考えるきっかけになりました。
貴重なお話をありがとうございます。
日常に生きるちょっと役立つ知恵、次回もお楽しみに♪