ゆるトーク ~みつけよう、あなたにぴったりのアーユルヴェーダ~ #186 輪廻思想と業報思想について
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第186回は、輪廻思想と業報思想について、ヒンドゥー教の研究者で筑紫女学園大学准教授の川尻洋平先生をゲストに迎えてお話しを伺いました。仏教の起源ともいわれるバラモン教の思想、輪廻と業報について聞いてみました。
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輪廻思想とは、死んで再び生まれ変わること、業報思想は、因果応報として知られるようにいいことをするといい結果が返ってくる、悪いことをすると悪い結果が返ってくるという思想。仏教の思想として知られる2つの思想が元々はバラモン教の思想で、輪廻と業報が結び付いたものとなっていき、生きている間にしたことで来世の境遇が決まる、という思想に発展した。
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インドでは、カースト制度の根拠となっているが、昨今ではいまなすべき義務を果たせ、という解釈となっている。生まれ変わり続けることはけしてポジティブなこととは考えられておらず、生きること=苦しみ、その輪廻から抜け出すことを解脱と言われている。
自然体でいられる心と体の関係を追求しながら、何事も一歩踏み出す勇気をもち経験することをモットーに日々学びを深めている。
ヨギー・インスティテュート500時間認定
作業療法士国家資格
アーユルヴェーダ学会アーユルヴェーダ・セルフケア・アドヴァイザー
仏教教師資格課程修了
全米ヨガアライアンスコース500時間(RYT500)講師
メディテーション・ベーシックコース(MBC)講師
セラピューティックトレーニングコース講師
シニアヨガ・トレーニングコース講師
ヨーガニードラ・トレーニングコース講師
見つけよう!あなたにぴったりのアーユルヴェーダ。
こんにちは。
ヨガインストラクターのアヤです。
このプログラムでは、
アーユルヴェーダの知恵に救われ続けている、ヨガインストラクターのアヤが、
毎回ゲストをお招きし、健康や美容に関する、
日常に生きる、ちょっと役立つ知恵をお届けします。
進行のサポーターをしているしちさんです。
しちです。よろしくお願いします。
yoggyairのライブストリームでは、アーユルヴェーディックヨガのクラスを
毎週日曜日の朝10:30に私、アヤが行っています。
そして、毎週水曜日の昼12:30にマイコ先生が担当しています。
季節に合わせた体のケアの知識とともに、ヨガで体を動かしていくクラスです。
また、アーユルヴェーダ料理研究家の水野香織さんによる、
アーユルヴェーダキッチンを月3回月曜日の夜19:30に開催しています。
アーユルヴェーダの食べ物やハーブのお話、そして実際のレシピについても、お話しを聞くことができるクラスです。
ぜひ、クラスでお会いしましょう。
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アヤ
今回は『輪廻思想と業報思想』についてゆるトークします。
ゲストは筑紫女学園大学准教授の川尻洋平先生です。
どうぞよろしくお願いいたします。 -
川尻洋平
よろしくお願いします。 -
アヤ
私は、数年前先生の仏教学の講義の中で、 ここら辺のお話を聞かせていただいてたんですけれども。
仏教成立以前の宗教として、 バラモン教の思想展開を学ばせていただきました。
その際、インド文化を知る上で大変興味深かったというのを覚えています。
で、今回ちょっと皆さんにも、これをシェアしたいという個人的な思いもありまして、 ここの部分を本当にわかりやすく説明してくださっていたので、 先生にお伺いしたいなと思います。
簡単でいいんですけれども、 バラモン教における輪廻思想と合法思想について教えてください。 -
川尻洋平
はい。 輪廻思想と業報思想ということですけど…
輪廻思想というのは、ご存知の方もいるかと思いますが、 ごくごく簡単に言えば、「死んで再び生まれる」ということをひたすら、 ただただ繰り返すというふうな考えになります。
なので、死んだら、死んだ後の世界があるというふうな考えですね。
その死んだ後の世界でも、死ぬことがあって、 その後また違う世界に生まれ変わる。
これを繰り返すのを「輪廻」っていうふうに言ったりします。
業報思想っていうのは、 言い換えると因果応報とかっていうふうにも言えるかと思いますが、 ごく簡単に言うと、良いことをすれば良い結果が返ってきて、 悪いことをすると悪い結果が返ってくる、っていうふうな考え方になります。
バラモン教では、この倫理思想と業報思想というのが結びついて、 死んだ後に生まれ変わる、という時に、 どういう状況に生まれ変わるのか、どういう境遇に生まれ変わるのかという時に、 生きている間にしたこと、した行為によって来世の境遇が決まるという風な 考えになっていきました。
なので、今、生きている間に良いことをたくさんしていれば、 来世はいい境遇に生まれ変わる。
過去のことを考えると、今の境遇っていうのは、 過去に過去の生涯で、した行為によって、今の生涯・境遇という結果が あるっていう風な考えになっています。
こういう考えっていうのが、インドで…いわゆるカースト制度というふうに 知られている制度。
バルナ制度…、バルナっていうのは「色」っていう意味ですが、 肌の色で、人を階級に分けていたりする制度があったりしますが、 その根拠になっているっていう風なものになってます。
一般的にはこの考えっていうのが、 来世ですね、要するに「今」ちゃんとしておけば、 来世は良い思いができますよっていうふうなことで、 今はなすべき義務を果たせっていうふうな理解になっていて。
自分で、次の生涯・来世を変えられる!っていう意味では、 ポジティブな考え方っていうふうに言えるかもしれません。
でも同時にですね、 これは差別的な考え方にも利用されるところがあって、 今生きていて何か不遇な状況というのがあったときに、 それは前世で悪いことをしたからだというふうなことを言うときに使われたりする、 という問題があったりします。
ただ、バラモン教もそうですし、仏教もそうですが、 どちらかというと、今の境遇をどう変えるかというところで、 なすべき義務を果たす、というところに力点があるのかなというのはあったりします。
インドの輪廻思想、この話を学生とかにしていると、 生まれ変わったら次は何がいいかな、みたいなことを考えたりして、 死んで生まれ変わるという話をするとですね、 良いことのように来世があるんだ、というふうなことでポジティブに 考えている人たちがいるんですが、
基本的にはインドの輪廻思想…、死んで生まれ変わる、 この繰り返しというのは、良いこととは考えられていなくて、 むしろネガティブなことで、良くない、というふうに考えられていました。
そこから抜け出すことを「解脱をする」っていう風に言ったりするんですが、 死んで生まれ変わる、この繰り返しから解放されるっていうことを、 インドの宗教では、基本的に全て目指したっていうところが 特徴としてあったりします。
そういう意味で、生きているっていうことが苦しみだっていう、 仏教でも言われたりしていて、インドの共通理解としてあったりしますけど。
これは、生きていることが苦しみだっていうのを話をしてても、 なかなか理解してくれない人は本当に理解してくれなかったりするんですね。
これは、ある同僚の先生と話しているときに、なかなか理解してくれないよね っていうところはあったりしたんですが、
「苦しみだ」って言うと、いや、楽しいこともあるし!っていうふうに 反応が返ってくるんですけど、 「人生は苦しみじゃなくてストレスに満ちている」って言い換えたらどう?って言ったら、 それは確かに!っていうふうに感じてくれる人が増えてくるなっていう話を、 同僚の先生と話をしてるのを聞いて、これは確かに!授業で使えるな!って いうのを思った記憶があります。
人生はストレスに満ちているって言われると、 おそらく聞いている人は、結構納得してくれるんじゃないかなというふうに 思ったりもしますが、 そこからいかに解放されるのかというのがあったりします。 -
アヤ
なるほどですね。
インドの思想の原点とも言えるバラモン教の思想展開なんですけれども、 ここから展開していって、仏教の発展へ、仏教の成立へとつながって いくんですけど、 今のお話をもとに、なぜ仏教が成立されたのかっていったところもお伺いしていいですか? -
川尻洋平
この業報思想と輪廻思想が結びついて、 いいことをすればいい結果、来世でいい結果を見るっていうことなんですが、 バラモン教の人にとって、いい思いをするっていうところで考えた時に、 いろいろ考えがある中で、来世には天界に生まれたい! その時に、ちゃんと祭式しましょう!みたいなのがあったんですね。
なので、バラモン教の人たちは、ちゃんと祭式をしましょうっていうことを みんなに言って。
バラモン教の人たちは、日本で言うとお坊さんみたいな立場ですので、 いろんな儀式をすることによって生活が成り立っていたわけで、 皆がちゃんと儀式をしてくれないと困るわけですよね。
で、その中で(バラモン教の中で)、良い行為って何か?っていうと、 結局、祭式に関わる…という風になっていました。
で、仏教がなぜ登場したのかというと、こういう状況があった中で、 祭式をしよう!ってなってくると、いろいろお金がかかったりする。
祭式の準備、お寺だとお坊さんにお伏せを渡さないといけない。
そのお伏せとかっていうので、結構お金がかかったりするので、 必ずしもみんながみんな簡単にできるわけではない、というところで、 違う可能性っていうのが仏教で考えられていくことになったわけですね。
その中で、祭式じゃなくて正しい理解ということを通じて、 苦しみから解放されよう!というふうに、お釈迦さんが気づかれて、 仏教が成立したということがあったりします。 -
アヤ
本当に人間の問題意識っていったところを、 より個別の問題として考えていこうっていうふうに提唱し始めたのが 仏教の始まりということでいいですか? -
川尻洋平
そうですね。
お釈迦さんが個人的に、自分が抱えている苦しみ、 年をとって病気になって死んでいくっていうところで、 その苦しみ嫌だなって、でも解放されないっていうところで、 それをいかに取り除くかっていうところから、仏教っていうのは誕生してますね。 -
アヤ
なるほど。
先ほど先生が、最初の方の説明で、 「人生はストレスに満ちている」って言われていた、 その言葉がすごくフィットしますね。
ありがとうございます!
今回はバラモン教、インドの起源ともいえる思想展開っていったところの お話をお伺いしました。
また、私たちの日本の文化においても、仏教というのは なじみ深いものなんですけれども、 その起源・原点っていったところについてのお話もお伺いすることができました。
今一度自分の生活、自分の内側に耳を傾けていった時に、 自分の思想展開はどういうところにあるのか、 それを考えるきっかけになったのではないでしょうか。
日常に生きるちょっと役立つ知恵、次回もお楽しみに♪