ゆるトーク ~みつけよう、あなたにぴったりのアーユルヴェーダ~ #187 インドにおける宗教観について
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第187回は、インドにおける宗教観について、ヒンドゥー教の研究者で筑紫女学園大学准教授の川尻洋平先生をゲストに迎えてお話しを伺いました。
インドの国勢調査が10年おきにおこなわれていて、ヒンドゥー教の割合が8割程度、イスラム教徒が十数パーセント、キリスト教、シーク教、1%未満のジャイナ教、仏教を信仰している。
一番メジャーなヒンドゥー教のなかでもシヴァ神を信仰するシヴァ派、ビシュヌ神を信仰するヴィシュヌ派があるものの、どちらかにくっきり分かれていない人もいる。インドにいるいろんな神様に、こういうときはこの神様にお願いしよう、というように、都合よく自分の欲望に合わせてお願いしているかたちも多いようです。
自然体でいられる心と体の関係を追求しながら、何事も一歩踏み出す勇気をもち経験することをモットーに日々学びを深めている。
ヨギー・インスティテュート500時間認定
作業療法士国家資格
アーユルヴェーダ学会アーユルヴェーダ・セルフケア・アドヴァイザー
仏教教師資格課程修了
全米ヨガアライアンスコース500時間(RYT500)講師
メディテーション・ベーシックコース(MBC)講師
セラピューティックトレーニングコース講師
シニアヨガ・トレーニングコース講師
ヨーガニードラ・トレーニングコース講師
見つけよう!あなたにぴったりのアーユルヴェーダ。
こんにちは。
ヨガインストラクターのアヤです。
このプログラムでは、
アーユルヴェーダの知恵に救われ続けている、ヨガインストラクターのアヤが、
毎回ゲストをお招きし、健康や美容に関する、
日常に生きる、ちょっと役立つ知恵をお届けします。
進行のサポーターをしているしちさんです。
しちです。よろしくお願いします。
yoggyairのライブストリームでは、アーユルヴェーディックヨガのクラスを
毎週日曜日の朝10:30に私、アヤが行っています。
そして、毎週水曜日の昼12:30にマイコ先生が担当しています。
季節に合わせた体のケアの知識とともに、ヨガで体を動かしていくクラスです。
また、アーユルヴェーダ料理研究家の水野香織さんによる、
アーユルヴェーダキッチンを月3回月曜日の夜19:30に開催しています。
アーユルヴェーダの食べ物やハーブのお話、そして実際のレシピについても、お話しを聞くことができるクラスです。
ぜひ、クラスでお会いしましょう。
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アヤ
今回は『インドにおける宗教と宗教観』についてゆるトークします。
ゲストは筑紫女学園大学准教授の川尻洋平先生です。
どうぞよろしくお願いいたします。 -
川尻洋平
よろしくお願いします。 -
アヤ
先生だからこそお伺いできるのかなっていうことなんですけれども。
インド全土を見ても、様々な宗教っていうのがあるっていうのは 理解できるんですが…。
現時点でのインドの宗教、それぞれの宗派の割合とかっていうのは、 どういう風な感じになってるんですか? -
川尻洋平
インドの国政調査がだいたい10年おきぐらいにやっているんですけど、 最近の数字だと、ヒルドゥー教が80%、8割ぐらい。
ただ、最新のデータだと、8割を切ったっていうのが、インドの人にとってはすごい ショックの数字だったのかもしれません。
というのは、今まで80%以上だったんですけど、 それを切ったということですね。
それは、イスラム教徒の人たちが増えているっていう状況があったりして、 大体イスラム教徒の人が10%半ばぐらいですかね。
で、あとちょっと細かい数字は忘れましたけど、 キリスト教徒の人や、ジャイナ教とか仏教の人たちはいますが、 ジャイナ教とか仏教の人はもっと少ないですね。 1%もいなかったと思います。
仏教は800万人ぐらいという風に言われていたかと思います。
だいたいそういう風な割合になっています。 -
アヤ
今、8割ヒンドゥー教っていう風におっしゃってたんですけれども、 そのヒンドゥー教の中でも、色々考え方があるみたいなんですが、 このヒンドゥー教はどういう風に捉えられているんでしょうか? -
川尻洋平
一応ヒンドゥー教の中に、シヴァ教、ヴィシュヌ教っていう風に、 シヴァ神を信仰するグループと、ヴィシュヌ神を信仰するグループがあったりしますけど、 一般の人からすると、あんまり自分がどっちだろうっていう風な 意識を持っているという人は、あんまり考えられないですね。
その辺りは日本の人の宗教感覚と似ている部分があるのかもしれませんが、 インドにいるいろんな神様がいて、 こういう時はこの神様にお願いしよう、とかっていう感じで、 まぁ言ったら都合よく、自分の欲望に合わせた形でお願いをするっていうのが あったりしますね。
なので、私自身、その数字があるかどうか分からないですけど、 そのシヴァ教とヴィシュヌ教の割合ってどうなんだろうな?っていうのは、 ちょっと思ったりもしますけど。
あんまり一般の人がそこまで考えてないだろうなっていうのを思うと、 数字が出てくるかな、調査できるかなっていうのを思ったりします。
これ調査すると、多分自分がどっちかっていう風なことを、 嫌でも意識してしまうんですよね。
ってなってくると、いいかもしれないけど、いらない摩擦を生んでしまう可能性も ちょっと考えられたりしますね。 なので、あんまりそこはつつかない方がいいかもしれません。
まぁ今は、ヒンドゥー教徒っていうことで、まとまっているので、 それは多分イスラム教との関係ということもあるんでしょうけど。
その対立がなくなった時に、別の対立軸みたいなのを・・・
これ多分政権っていうか、政治家とかがなんか持ち出してくるとかっていうのも あったりするのかなっていうのも、ちょっと思ったりもします。 -
アヤ
なるほど。
やっぱちょっとそういう風に、 社会情勢との結構複雑な絡みが若干あるっていうことですね。
で、その…
ジャイナ教とか、仏教とかっていうのが数%っていう風な お話だったんですけれども、今も一部の人たちが信仰されていて、 今ヒンドゥー教のお話でもあった通り、 自分の都合のいいように、神様を崇めていると。
そういう…、ちょっと日本人的な宗教感がある中で、 仏教、ジャイナ教っていったところは、どういう立ち位置になっているんですか? -
川尻洋平
まずジャイナ教は、インドの社会の中で結構な地位を占めていて、 それはあの…お金を持っている人が多い。
で、ジャイナ教では不殺生っていうのがすごい強調されますので、 仕事が限られるわけですよね。 働ける職種っていうのが。
そうなった時に多いのが、宝石商だったりするので、 比較的裕福な人たちが多い。
で、結構いろんなところに寄付をしていたりするので、 そういう意味では、数は少ないけど社会的に力を持っている。 で、嘘をつかない!っていうことで、信用もされるっていうのが、 ジャイナ教徒の人たち、インドの社会の中で信用されているっていうのは あったりすると思います。
で、インドの今の仏教徒って言われると、 アンベードカルっていう人がひて、彼自身、カースト制度にも入らない、 いわゆるアウトカーストの出身だったんですが、 ヒンドゥー教だと自分は全然救われないっていうところで、 仏教に改宗しようとしたんですね。
で、それに合わせてアウトカーストの人たちも、 仏教に改宗したということがあったりしました。
で、新しく第二次世界大戦後に、仏教徒になった人の数っていう風に なっていますね。 -
アヤ
じゃぁ結構そのカースト制度の影響が、 どの宗派にもある中で、やっぱりその自分の立場とか、 崇拝すべき思想なのかっていったところに、 それぞれが寄っているっていう風な感じで理解していいですか?
生まれながらに、その宗教になるっていうのは大前提であるんですかね? -
川尻洋平
そうですね…
ヒンドゥー教徒は生まれながらにそうですね。
で、一応仏教とか改宗してっていうことはあったりしますけど、 現実を見たら、インド社会では基本的に、 宗教の自由ってあるのかなっていう風な状況はあると思います。
もう周りの人、家族、親戚とかがこの宗教だったらこの宗教っていうのが 強いとは思いますね。 -
アヤ
なるほどですね。
本当にたくさんの人がいる中で、様々な宗教も、 キリスト教とかも含め複雑に絡み合っている文化なんですけれども、 バラモン教から派生した、様々な宗教っていうのが、 これだけ多くあるのに平和的な共存ができているっていうのは、 何かその宗教の思想っていったところでも、 共通するものがあるんじゃないかなと思うんですが、 ここら辺のヒンドゥー教とか仏教とか、ジャイナ教とかの思想の影響のし合い方っ ていったところは何か関係があるんですか? -
川尻洋平
そうですね。
大枠としては、前回話をした業報・輪廻の思想。
で、これに賛成するかしないかはともかくとして、 これが基本的な枠組みになっているので、 それに対してどういう立場を持つのかっていうところの枠組みはまず決まっているっ ていうので、そこからあんまり外れない。
で、それは結局、外れないというよりも、外れられなくて、 お互いが関係しているので、無視できないっていう部分があったりします。
で、お互いが結構こう影響し合うわけですけど、 インド社会の中で、言ったら…王様とかからの死後をどうやって受けるのかっていうことを 結構それぞれの宗教で考えていたりして。
その時に議論の応酬になったりするわけですよね。
その時に、相手の言っていることを、特にヒンドゥー教はそうですけど、 相手が言っていることを結構自分のところに…、 「我田引水」ではないですけど、持ってきて、さも自分が言い出したかのように、 あるいはなんかこっちの方がもうちょっと良くなるんじゃない?みたいな感じで、 取り込んでいくっていうのが結構あったりします。
なのでそういう意味では、いろんな宗教がお互いにこう、 完全に対立するっていうよりも、なんか都合のいいところを持ってきて、 その上にちょっと新しいのを足していくっていうような展開っていうのが あったりしますね。 -
アヤ
じゃぁ本当になんか…
自分の意見っていうのを大事にしつつ、 その意見を尊重してリスペクトしているからこそ、 いいとこ取りをしていくっていう感じで良いですか?(笑) -
川尻洋平
良いように言うと、リスペクトしててっていうことかもしれないですけど(笑)
実際戦っている人たちからすると、あんまりそのリスペクトはないかもしれません。
本当に、いいように利用してっていうのはあるのかなっていうのは、ちょっと感じますね。
リスペクトしている部分も感じないこともなかったりもしますし。
でも、実際問題、王様からの寄付金とかを得るために、 そこまでリスペクトがあるかなっていうと、 やっぱ目的があって、そのためには手段を選ばないところもあるのかなっていうのは 感じたりします。 -
アヤ
なるほどですね。
でもそうやって、ずっと長年蓄積してきたのが、 今の文化っていったところになって、 そこの長い歴史があるからこそ、一番最初のお話にもあったように、 シヴァ教の研究をしていく時とかでも、 やっぱりそれが純粋なものなのか、 それともその後から付け加えられたものなのかっていう、 その時代的な背景とか、その思想展開っていったところも、 やっぱり厳密に見なければいけないっていう感じになっていくんですよね。
なので本当にこう…、 インドのあれだけの幅広い宗教、そして宗教観っていったところを、 くまなく見ていくっていうのは、本当に力がいる作業だなって改めて思います。
本当に、研究されている先生は素晴らしいですね! -
川尻洋平
いやでも、そのあたりがすごい面白い部分でもありますね。
この部分はこっちから持ってきてるな、とか。
例えば、仏教とかシヴァ教で言えば、仏教側は結構ですね、 時代的にシヴァ教が持っていたいろんな宗教儀式、 宗教儀礼っていうのを導入してるんですね。
で、それは、仏教の経典なんかに、 実はこれは、世間の人はシヴァ教の人たちがやってるものっていう風に 言ってるけど、実は文殊菩薩が既に言っていたことなんだよ!みたいなことが 経典に残されていたりして、それってなんか、元々は違うところから取ってきたけど、 なんかごまかしてるのかな?みたいなところはあったりするんですね。
特に儀礼の部分っていうのは、仏教ってもともと儀礼に対する反発から 起こっているのに、また儀礼を取り込もうとしているっていうので、 面白い現象といえば面白い現象で、 仏教側がそうせざるを得なかった状況っていうのも多分あったりするんだろうなっ ていうのも見えてきたりして。
で、どちらかというと、仏教はやっぱりもともと儀式じゃなくて、 考える方、思想的なところに結構力を注いでいる部分もあったので、 その部分でシヴァ教側が、乗っかってというか、 取り込んで利用すると。
シヴァ教側からすると、仏教のいうところのいいところまでいってるけど、 ただ残念なことにシヴァ神を認めてないから、ちょっとうまいこといかないよね みたいな形で、ただシヴァ神っていうのを付け加えて、 ほぼ自分たちの話に持っていくっていうのがあったりして、 そういう関係を見ていくのはすごい面白いです。 -
アヤ
本当ですね。
もう本当、それはちゃんと歴史家とかね、 見ていかないと全然気づけない目ですよね。
先生と岩だらけの仏跡を、インド旅行でもしたんですが、 先生の解釈がなければ全く理解できなかったんですけども(笑)
そういうこう歴史…、この場所で何が起きていたのかとか、 なんかそういう物語を聞いたりとかすると、 昔の人がどういう風な考えでそれを行っていったのかっていう、 ちょっとこう、歴史ロマンみたいな、そういうこう楽しみ方もできるなっていうのを 味合わせていただきました。
なので、一つの宗教っていう入り口ではあるかもしれないけど、 そういったところから、また歴史を学んでいくっていった時に、 自分の考え方とかも深まっていくんじゃないかなっていう風に 私自身は期待してしています。
しちさんどうでしょう? -
しち
今の、「取り入れて」っていうところで、 ヨガでもよくシヴァ神の話だったりとか、色んな神様が出てくるんですけど、 ヨガと宗教の絡み方も、そういう感じで取り入れていったんですかね? -
川尻洋平
そうですね。
お互いに影響関係はあったりしますよね。
仏教にもヨガってありますし、仏教以外の伝統にも、 シヴァ教の中にもヨーガっていうのはあったりしますし、 いやが上にもお互いに影響はありますね。 -
しち
あぁ、なるほど!
なんかなんだろう…、 スポって一個一個区切って、一本ずつ独立して立ってるっていうよりも、 ちょっとどっかでつながり合ってるんですね、それぞれが。 -
川尻洋平
そうですね。
歴史的な背景とかもあったりしますので。 -
しち
ありがとうございます。 -
アヤ
すごく貴重なお話をありがとうございました!
今回のお話はいかがでしたでしょうか?
インドの宗教観についてのお話を、かなり深堀って、 そして最後はヨガと宗教っていったところの絡みのところまで、 影響のしあい方についてまで解説をいただきました!
興味を持たれた方は、是非こういう宗教観っていったところを、 そしてインドの歴史っていったところにも興味を持っていただけると 嬉しいなと思います。
日常に生きるちょっと役立つ知恵、次回もお楽しみに♪