その名もずばり「ビューティ・ペルヴィス」という、人として美しくなるためのプログラムを考案したkyo先生。美しさについての考えや、きれいになるためのヒントについてお話を聞きました。

強く、美しく、しなやかに

- ビューティ・ペルヴィスでめざしているのはどんな美しさですか?

「強く、美しく、しなやかに」という心と体をめざしていて、これはb-i STYLE(ビイスタイル)の理念でもあります。「強く」とは自立・自律すること。「美しく」とは、相手に対する思いやりや敬いの気持ちです。たとえば、冠婚葬祭の場には相手に対する礼儀としてみんな正装していきますよね。美しさは、思いやりのマナーなのです。

そして最後の「しなやかに」は、理想的な心と体を表現している言葉だと思っています。自分の軸がしっかりありながらも、相手を受け入れることができるしなやかさ。それは強さや美しさでもあるし、この3つの言葉はすべてリンクしています。

- 女性だけに限らず、男性にもあてはまりそうですね。

そう。人それぞれに美しさがあると思います。それは老若男女に通じます。たとえば、トラックを運転している女性の筋肉美もすてきだと思うし、ふくよかな妊婦さんたちも微笑ましい思う。マラソンランナーならそぎ落とされた機能的な体、ヨガの先生ならヨガの先生のイメージってあるでしょう? 

それぞれの目的というか「種目」に体がマッチしているのが美しさなんですね。みんながリカちゃん人形みたいに八頭身にならなくてもいい。その人それぞれのバランスがあるはずなんですよ。

だから、ビューティ・ペルヴィスのクラスでは「まず自分を知りましょう」というところからスタートします。そして、人それぞれ自分のバランスのいい場所をみつけていきます。

- 「自分を知る」とは?

たとえば「痩せたい」と言いながらも、好きなものはやっぱり食べるという人もいるでしょう? 「運動しなきゃ」と言いつつ、運動が嫌いでなかなかできない人もいる。みんな得手不得手というものがあるのです。ということは、自分にとって心地よいところで手を打っているんですよ。みんな実は自分を気に入っているの。

「自分を知る」というのは、生活にしても環境にしても、自分が選択してきた結果として、まずは現実を認めること。たとえば、着物を着て暮らしている人とジャージで暮らしている人では体も違う。家庭、仕事、生活スタイル、感情……すべてからだに正直に反映されていることを認めるんですね。

「人間は馴れる動物である」

私は中学卒業の寄せ書きになぜか「人間は馴れる動物である」と書いたのですが(笑)、今でもその言葉は本当だなって思う。人間は環境に適応していくもの。“馴れ”って適応していくことなんですね。

わかりやすい例を挙げると、恋すると途端に表情や物腰が変わるでしょう? 恋という環境の変化によって人は美しくなりますよね? だからこそ、恋をしなくても今の自分を自分で愛おしむことがまず大事だなと思います。

そのうえで、もう少し丁寧に体をケアしてあげるとか姿勢よく歩くようにするとか、小さな変化と小さな成功を重ね、喜びを大切にすること。「あ、変わった!」という喜びを感じると、自分に自信がもてるようになる。

いつも不安で「何がいいのかしら。どうしたらよいかわからない」と迷走している人よりも、選択をしていける人でありたい。そういう人は、たとえ間違った選択をしたとしても、それに“馴れ”=適応していけると思うのです。

きれいになるための努力を重ねていく気持ちをどうやって維持していますか? につづく

写真 七戸 綾子/取材・文 古金谷 あゆみ/「スタジオ・ヨギーのある生活」vol.12より