ピラティスで体の使い方を学ぶ

私のなかでは、ピラティスは訓練のようなものだと思っています。訓練といっても、正しい体の使い方を体に染み込ませていくようなイメージかな。たとえば……

1. テーブルトップ table top

まずは安定した仰向けの姿勢で脚の上げ下げをするエクササイズ。これは結局何をしているかというと、体幹は安定させたなかで股関節を自由にスムーズに動かせるかなというチェックと、もしそれが難しければ、その練習をしています。仰向けになると重力が助けてくれるので、まず少し楽に練習できるところから。

2.サイドキック side kick

ちょっと慣れてきたら、サイドキック。よく見てみると、さっき仰向けでしていた動きと同じです。横になって、少し不安定になったところで練習してみましょうということですね。

3.スタンディング standing

じゃあ、いよいよ世界に旅立っていくために立ち上がりましょう(笑)。立って歩くということは重力に逆らいながら動きますから、すごくサポートが少ないチャレンジングな姿勢です。これもよく見てみると、仰向けや横向きでしていたのと同じですよね。

ピラティスで練習しているのは、こうした体の使い方です。クラス全体の流れも、基本的には1.~3.と同じような構成が多いですね。まず呼吸で準備をしてから、1.動きの土台となる部分をよく使うエクササイズ、2.手足を動かしたり背骨をねじったりするような応用、3.サポートの少ないところでチャレンジ。最後は日常生活につながるよう、立った状態の体でよい姿勢を覚えてもらおうとすることも多いですね。

何歳からでも体は変えていける

― ピラティスで体の使い方を学んだら、一生やり続けなくてもいいのでしょうか?

年齢・性別・感情・環境などによって、姿勢は変わります。若い頃にピラティスをしたからOKという考え方もあるかもしれませんが、やっぱりそのときどきで必要な自分の体のメンテナンスをしていくといいんじゃないかなと思います。

よく「姿勢が悪いんです」と悲しい感じで相談に来てくれる生徒さんもいらっしゃいますが、「否定しないで。体にありがとうと言ってあげて」とお話ししています。スポーツや育児やお仕事……今日この日までのあなたの人生を作ってきてくれたいろいろな経験のすべてが、今の姿勢を作っているわけですから。

赤ちゃんを抱っこしながら片手で荷物を持ったりしてきたとしても、それは子育てに必要な姿勢だったのだから、がんばった自分をほめてあげてください。自分の体には感謝してほしい。今の自分に感謝しつつ、でもよりよい自分になるためにピラティスでひとつ知恵をつけるということです。自分で招いたこの姿勢なので、また自分で変化させることはできますし、何歳からでも体は変えていけると思いますよ。

姿勢をよくするのは、先生じゃなくて自分

― それはうれしいですね。いろいろと体のせいにしていた気がします。

私も「どうせ私のあばらは大きいから」とか「座って勉強するから姿勢が悪くなるのはしょうがないよね」とか、何かのせいにしがちでした。でも、ピラティスをすると自分の現状がよくわかり、私が私である理由を姿勢が一番よく表していることに気づきました。

先生じゃなくて私が自分の体をどうしていきたいのかという強い意志、自立するような気持ちをピラティスに教えてもらった気がします。

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イラスト 石橋 直子/取材・文 古金谷 あゆみ/「スタジオ・ヨギーのある生活」vol.25より