うちの次女はとっても活発です。
「活発」と言えば聞こえもいいけれど、言い換えてみれば「やんちゃ」「お転婆」「落ち着きがない」「ドラマチック」「大袈裟」「パワフル」「「元気いっぱい」な我が子。

二人目ということもあるとは思いますが、小さな小さな頃から日本語が達者で、運動神経も良く、木登りもかけっこも誰にも負けない成長の速さがありました。場所見知り、人見知りもなく、どこに言っても笑顔いっぱい元気いっぱい、怖いもの知らずの女の子。

ただ、なぜだか「避難訓練」が大の苦手。
1歳位の頃から、月に一回行われる保育園の避難訓練で、
「いつも元気なたまちゃんが、避難訓練だと毎回泣くのよね~。」と保育園の先生に言われて知りました。節分の豆撒きで鬼が来ても平気なのに、鬼ごっこかくれんぼでも、どちらかというと他の子を泣かせるほど元気いっぱいなのに、なぜだか避難訓練ではパニックになると言うのです。

小さな保育園から大きな保育園へと転園し、すんなり新しい保育園にも慣れて、持ち前の「活発さ」を本領発揮し始めた頃、その園でも避難訓練がありました。お迎えに行くと、「どんなことがあっても泣いたことなかったたまちゃんが、今日は泣いたんですよ~」と驚きながら教えてくれたベテラン先生。

ある夜。次女が熱を出してうなされたことがありました。夜中にムクっと起き上がり、突然饒舌に話し始めました。2歳半頃のことです。
「れんくんがおなかまで浸かって、おなかイタイイタイだったの。かんなちゃんはこわかったの。エンエンしたの。もう逃げられなかったの。あおちゃんもたまちゃんもいたの。みんなバラバラになっちゃったの・・・」
とシクシク泣きながら、ゆらゆら体を揺らしながら、幻覚でも見ているかのように話していました。

2歳児の言葉とは思えないほどスラスラと出てくる言葉に私も動転しましたが、何か怖い記憶がこの子の中にはあるのかもしれないと思いました。不思議だけど、私が知っていることではない、今のこの子が知っていることでもなく、彼女のどこかが知っている記憶があるのかもしれないな…と。

ゆらゆら揺れながら泣いている熱を持った娘を、ぎゅうっと抱きしめながら、
「もう大丈夫!ママが今助けたよ。もう離さないから大丈夫よ。安心してね。ほら、ここにいるでしょ。」と言いました。

新しい園での初めての避難訓練の翌日、変に思われるかもしれないな~なんて思いながら、昨日話してくれたベテラン先生に、あの夜のことを話しました。
「信じてもらえないかもしれないけれど、私自身も半信半疑なんだけど、彼女は何か怖い記憶をどこかに持っている魂なんだと思っているんです。だから、今は大丈夫なんだよ~、今はあの時とは違うんだよ~ってうちでは落ち着かせているんです。もしまた、避難訓練のときにパニックになったら、どうか抱きしめてやってくれませんか?」

馬鹿にされちゃうかな~と思ったんですけど、有り難いことにそのベテラン先生は、涙ぐみながら、「わかったわ!!」って噛みしめるように言ってくださったんです。

だからかどうかはわかりませんが、次女の避難訓練パニックは治まっていきました。子どもの心に寄り添ってみただけなんです。今、不安がっている心が安心を得られるように、子どもの話だからと戯言扱いしないで、その物語をまるっと受け止めてあげる。同時に自分自身が癒やされてもいきました。

子育てには、時々理屈じゃ通らないようなことがあります。事実の奥にある真実に出会うことがあります。どうしても泣き止まない、治らないことがあるときは、その奥に解決しなきゃいけない違う側面があるかもしれません。

何かの役に立つお話になれば嬉しいです。

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文 ヨガインストラクター ミヅホ/編集 七戸 綾子