8月はバジルの収穫の最盛期。花穂が付き、これでおしまいと思うとちょっと寂しくもある。先日、千葉に住む友人のそのまた友人からバジルの束を頂いた。農家の人ではないはずなのに、立派な出来だった。冷蔵庫に入れておいても黒く萎れるだけなので、急いで加工してしまおう。

バジルの保存方法で一番に思いつくのがペスト・ジェノヴェーゼ。オイルに香りを移す、塩漬け(これもバジルそのものより、塩を使う)、やったことはないが、電子レンジで乾燥させる方法もあるようだ。確かに、そのまま乾燥させて黒い枯れ葉のようにしたことがある。

ジェノヴェーゼソースは大好きなのだが、大量に作っても結局翌年までに使い切れていない事もしばしばあった。その理由を考えてみれば、松の実の強い香りのせいで応用しにくいからかもしれない。最近は松の実の価格が高騰している事だし、代わりにカシューナッツを使えばもっとやわらかい味になる。

いっそのことナッツもにんにくもチーズもやめて、オリーブ油と塩だけでもいいのではないか?と思って、フードプロセッサーにバジルの葉(太い軸は出来るだけ取った方がよい)とオリーブ油を入れてすりつぶしてみた。思っていたより暗い色のペーストになり焦るも、香りは強い。じゃがいもや卵や鶏肉にちょっと垂らしたら合いそうだ。

今では「バジル」という英語名の方が一般的だけれど、元々はイタリア料理(スパゲッティ・バジリコ!)から日本入って来たから、昔は「バジリコ」とイタリア名で言っていたような気がする。そしてその「バジル」もアメリカ人には通じなくて、「もしかしてベイズルの事?」と言われた事がある。外来語の発音は明治時代から変わっていないのだ。

写真&文 中村 宏子