先月のはじめ、沖縄の友人宅でそれは美味しい黒糖のデザートを食べた。
個人宅などに出向いてフランス料理を提供する「名前のない料理店」の小島圭史シェフによるフルコース。シェフ自ら摘んできたという野草のサラダや土を練り込んだパン粉のソースなど、沖縄の大地を丸ごと堪能できる料理に唸りまくりだったのだが、その〆に登場したのが、写真の「焦がし黒糖のグラス」。

見たところ、メインの「自家製チーズのクレメダンジュ」に添えられたソースのようだが、沖縄の熱気で瞬く間に溶けてしまっただけで、こちらもれっきとしたアイス。グラスとはフランス語でアイスクリームのことらしく、このデザートは伝統的な技法でうんぬんという話を教えてもらったものの、いい具合に酔いが回っていたせいかまったく記憶になく……。小島シェフごめんなさい。

さておき黒糖のこっくりと滋味深い風味が好きで、沖縄を訪れるたび方々の店をのぞいては、いろいろな種類のものを買い求めている。持ち帰った黒糖は、料理に使ったり飴のようにそのまま口に放り込んだり。凍らせておいた梅と一緒に瓶に入れ、黒糖梅シロップもたくさんつくった(黒蜜のようになって美味しい!)。そして今の季節ならやはりアイス。

数年前の夏、陶芸家のこばやしゆふさんのうちで食べさせてもらった黒糖アイスの味が忘れられず、つくり方を教えてもらった。以来、細かく刻んだダークチョコレートや酸味のあるフルーツを混ぜ込むなど生意気にもアレンジを加えながら、繰り返しつくっては娘と二人うまいうまいと食べている(最近は娘にひとりじめされるので、母ちゃんにもひと口ください、とお願いしている)。

[ゆふさんの黒糖アイスクリーム]
1. 卵4個をしっかり混ぜたところに、牛乳200mlを入れてよく混ぜる
2. 別のボウルで、植物性生クリーム200mlを角が立つくらいまで泡立てる
3. 1と2を混ぜ合わせ、黒糖40gときび糖20gを加えてさらに混ぜる
4. ラム酒2、3滴を加え、冷凍庫で固まるまで冷やす。途中で数回混ぜるとなめらかになる
*生の卵が入っているので、1、2日で食べ切ること

冷やす過程でこまめに混ぜるのが美味しく仕上がる秘訣かと。ぜひお試しください。

写真&文 松田 可奈