ヨガインストラクターのユウです。前回の記事「マタニティヨガがおすすめな理由」で、呼吸における心の作用についてお話しましたが、今回は、呼吸を整えると身体にどんな変化をもたらすのかについてご紹介したいと思います。

妊婦さんでも、そうでない人にとっても、マタニティの呼吸と言えば「ヒッ、ヒッ、フー」の呼吸リズムが特徴的なラマーズ法が有名ですね。ラマーズ法は、分娩時お産の進み具合に応じた呼吸を行います。陣痛がピークに達してくると、その痛さに呼吸を止めがちになるのですが、呼吸に集中することで陣痛や分娩の痛みを和らげます。意識的に呼吸を行うことで赤ちゃんに十分な酸素を届けることを目的としています。

さらにラマーズ法には、パートナーや助産師さんなど、立ち会っている人が同じ呼吸を行うことで、妊婦さんが実践しやすいというメリットもあるそうです。私の場合、分娩の終盤いきむ時にとても有効でした。

一方、ラマーズ法とは別に、ソフロロジーの呼吸法があります。ソフロというのはラテン語で「心を落ち着かせる研究」という意味で、ソフロロジーとは、安定した精神を手に入れるにはどうしたらよいかを考える学問のことです。スペインの精神科医が考え、それをフランスでお産に応用し広まったのがソフロロジー出産法です。

お産のメインとなるソフロロジーの呼吸法は、「ゆっくり長く息を吐く」ことを行うので、「積極的呼息法」と言われます。これは、まさにヨガのクラスで意識される呼吸です。

呼吸は、自律神経と関連が深く、特に吐く呼吸は、自律神経のうちの副交感神経(食事中や睡眠中などリラックスしているときに働く)を優位にするので、末梢の血流が増加し、血流がよくなる結果、筋肉が弛緩して身体がリラックスできます。出産を怖いと思えば思うほど、力が入って筋肉は硬くなりますが、積極的に吐く呼吸を続けることで、こわばっていた全身の筋肉がほぐれていき、赤ちゃんの出口も広がりやすくなり、お産がスムーズに進むようになります。

私がお世話になった産院では、ソフロロジー呼吸法を推奨していて、母親学級でも指導がありました。実際に陣痛が始まって、痛みを乗り越える時やいきみを逃がすのに、ソフロロジーの呼吸法は非常に役立ったと感じています。ソフロロジーでは、最後までリラックスすることを大切にするため、赤ちゃんの出口が柔らかくゆっくり開くので切開せずに済むことが多く、お産で体力を消耗しないので、産後の回復も早いと言われています。

ラマーズ法も、ソフロロジーの呼吸法もポイントは呼吸に意識を向け、積極的に行うことです。ラマーズ法やソフロロジーの呼吸法を知らなくても、ヨガの練習で呼吸に意識を向け、深めるトレーニングができていれば、お産にも良い影響を及ぼすことが期待できます。

by ヨガインストラクター ユウ