女性に多い”冷え”。指先、足先が冷たい、なかなか寝付けない、など、体が冷えているとさまざまな不調を引き起こすと云われています。ヨガで果たして”冷え”は解消できるのでしょうか。ヨガインストラクターのカオ先生に冷えに関する10個の質問を聞いてみました。

1. 体が冷えていると、具体的にはどんな悪影響があるのでしょう?

体が冷え、体温が下がることで、血流が滞り新陳代謝量が低下します。それにより免疫力の低下につながり、風邪などを引きやすくなったり、様々な不調が起こりやすくなります。冷えを放っておく以下のような悪影響があるとされています。

・内臓の働きが悪くなり、免疫力が低下。風邪や感染症などにかかりやすくなる。
・体が冷えるので、だるさや下痢、月経不順、不眠、肩こり、頭痛、寝不足などの不調が起こりやすくなる。
・全身の新陳代謝が悪くなることで、抜け毛、白髪、肌の乾燥やくすみ、肥満などを招きやすい。


“冷え”は様々な不調や病気のベースをつくるといわれています。基礎代謝をあげたり、体を温める”温活”は、日々を健やかに過ごすという意味でもとても大切です。

2.体が冷えていると心に影響がありますか?

常に寒気がある、常に手足の冷えを感じていること自体がストレスの原因となりますよね。日常的にいつも寒さを我慢しているような状態では、仕事に集中し辛かったり、寝つきが悪かったりすることもあるでしょう。そういった意味では心にも影響があると言えるのではないでしょうか。

ストレスからは切っても切り離せない現代社会。昔から「病は気から」と言われるように、心と体は繋がっています。ストレスから自律神経のバランスが乱れると、さらなる冷えに繋がります。かといって、すぐに心のストレスをなくすことは難しいですよね。

自分の出来る範囲で温活を続けることで体の冷えを改善し、体調が良くなることで、それが心にも良い影響を及ぼすでしょう。

3.冷えていると寝つきが悪くなると聞きますが、なぜ?

冷えと眠りには、自律神経も関係しています。本来、夜の体温の変化に合わせて活動の神経である「交感神経」からリラックスの神経である「副交感神経」に切り替わりますが、体が冷えていると体温を逃がさないように防御機能として、「交感神経」が優位に働き続けます。そのため寝ている間もリラックスできず、眠りが浅い、夜中に何度も目が覚める……といったことが起こります。

さらに、ストレス過多による「過緊張」が加わるとますますそれが助長されます。過緊張とは慢性的なストレスが原因で、常に心身が緊張した状態のことで、睡眠の質に悪影響を与えます。大きなストレスを抱えていたり、寝る直前までPCやスマートフォンを使用していたりと、日中の緊張状態のまま就寝することになり、熟睡できず寝ている間も興奮した状態が続きます。

冷えや過緊張により良質な睡眠がとれないと、自律神経が乱れて血流が悪くなり、体がますます冷えを感じる……という悪循環に陥ります。

この悪循環を断ち切り、良質な睡眠をとるためにも、冷えない体づくりはとても大切です。

4.自分が冷えているかわかる簡単な方法はありますか?

_入浴後すぐに手足の末端が冷える
_手足の先が冷えて眠れない
_起床時にお腹を触ると、冷たいと感じる
などは自分で簡単にチェック出来る冷えのシグナルです。

5.どうして女性に冷え症が多いのでしょう?

一般的に、男性に比べ筋肉量の少ない女性は、熱の蓄積や作り出す量が低く冷えを感じやすい傾向にあります。体の熱の約60%は筋肉から生み出されているため、一般的に筋肉量が少ない女性は冷えやすいのです。

そのため、外から温めるのも重要ですが、基礎代謝をアップして、熱を生み出す体つくりも大切です。基礎代謝をアップするには、「筋肉量=代謝=体温」ですから、筋肉をつけることは大切ですね。

6.食事は冷えに関係しますか?

はい、関係します。食材には体を温めるものと、冷やすものがあります。冬に旬を迎える食材や寒い地域で採れる食材には、体を温める効果があるので、意識して摂るようにすると良いですね。

<体を温める食材>
カボチャ・ねぎ・ゴボウ・ニンジン・レンコン・しょうが・シナモン・生姜・黒豆・みそ・しょうゆ、冬が旬の食材、寒い地域で採れる食材、根菜類、発酵食品など。

私は年間を通して、冷たいドリンクは控え、冷えを感じる時は、生姜やねぎ、レンコン、白菜などを入れた体を温める食材を積極的に摂るようにしています。スリランカのスパイスティー、サマハンも常用しています。

7.冷えに効くヨガのポーズを教えてください。

筋肉と冷え性改善には密接な関係があります。なぜなら、筋肉は人体で最も熱を放ってくれる部位だからです。筋肉量が増えると体温の調整もズムーズになり、冷え性改善につながります。そして人間の筋肉は約7割が下半身に集中していますから、コアや下半身の筋肉を活性化していくようなアーサナは特におすすめです。

冷えに効くおすすめのアーサナ(ポーズ)を5つご紹介します。ご自宅で実践する場合は5呼吸程度、ホールドするとより効果的でしょう。

ダウンドッグ

手と足で体を支えながら、脚の裏側や背筋群をしっかり伸ばすことで、ももの裏側のハムストリングスやふくらはぎの筋肉をストレッチします。全身の大きな筋肉を活性化させるので冷え性の方に効果的なポーズです。

ガルダ・アーサナ

両腕を伸ばしてクロスし、ひじを曲げて手の甲どうしをくっつけるか、手のひらを合わせます。肩甲骨まわりや背中の筋肉をストレッチするので上半身の血行をよくします。また、脚全体の筋肉を使うので、下半身の血行もよくなります。

ハイランジのねじり

片足を前に踏み込み、合掌して腹部から胸、肩まわりをねじります。腹筋郡、太ももの筋肉の大腿四頭筋や、腿の裏側のハムストリングスをしっかり使うので、これらの大きな筋肉を活性化され、代謝が上がります。

トカゲのポーズ

股関節を前後にひらいて、胸からお腹の前面、股関節まわりを気持ち良くストレッチします。上半身と下半身をつなぐ大きな筋肉、腸腰筋を使うため、全身の血行がよくなります。

ピジョンポーズ

片膝を曲げて座り、後ろに伸ばしたもう片方の脚の膝を曲げて足先を手で持ちます。後ろの脚を曲げるのがきつい場合は伸ばしたまま、両手を前の床につきましょう。胸と股関節周辺の筋肉をストレッチし、呼吸を深め、全身の血行をよくします。

8.日中オフィスにいたり、外出先で寒い!というときにおすすめの温まる方法ありますか?

ストレスも冷えの原因のひとつ。自律神経を整える呼吸を取り入れています。

日常生活のなかで疲れを感じたり体調不良になったりしたときには、ストレッチと「片鼻呼吸法」がおすすめ。

「左から吸い、右から吐く、そのまま右から吸い、左から吐く」を1セットとして、落ち着くまで数セット繰り返しましょう。

自律神経を整えて心と体のバランスを保つことができますよ。

9.カオ先生が実際におこなっている温活を教えてください。

・首、手首、足首と「首」がつく部位を温めます。「首」がつくところは、脂肪や筋肉がつきにくく、特に手首は表面に血管が見えてきていますし、熱が逃げやすいのです。だから「三首」を温めるといいです。

ヨギー・サンクチュアリのレッグウォーマーは本当におすすめ!動きを邪魔せず、足首周りを快適に温めてくれます。

・上記(6.)に書いた食養生
・起床時と就寝前のアーサナと呼吸法と瞑想(冷えとの関係は以下のとおり)

10.ズバリ、ヨガで冷えは解消できますか?

はい。十分効果があると思います。

ヨガのゆったりとした意識的な呼吸は自律神経を安定させる効果があります。冷え性というのは自律神経の乱れも原因となるため自律神経を安定させるということは、冷え性改善対策にもつながります。また、深い呼吸により血液中の酸素量が増えるため、血流がよくなるのです。

アーサナ(ポーズ)は様々な筋肉を動かす全身運動です。それにより全身の血液循環を促すので、冷え性改善に良い働きをしてくれます。先述(5.)の通り、女性は筋肉が少ないので冷え性を起こしやすくなります。

ヨガを継続して行うことで、筋肉がつき、熱を生みやすい体を作れるのです。瞑想は日々の思考整理とリラックスに役立ちます。瞑想にはセロトニンを増やす効果が認められています。セロトニンは神経や安眠に関わるホルモンで、低下してしまうとネガティブ思考になったり睡眠の質が低下すると言われていますので、睡眠にも良い効果があります。

ヨガの実践はやらないよりやった方が確実に冷えに良い効果をもたらしてくれると言えます。無理のない範囲で継続することが大切です。

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文 ヨガインストラクター カオ/編集 七戸 綾子