世界中を旅してヨガを教えているジョーダン・ブルームさん。背がとっても高くて、いつもあたたかな笑顔を絶やさない、「ビッグ・ジョーダン」で親しまれています。

ジョーダン先生の専門分野はなに? ヨガとの出会いは? ヨガの魅力はどんなところ? 日々どんな暮らしをしていて、どんなことを大切にしているのでしょうか。16個の質問を聞いてみました。

1.ヨガを始めたきっかけはなんでしたか?

小さい頃から私はとてもアクティブで、東洋の哲学に興味がありました。通っていた大学のクラスにヨガがあり、“動き”と“哲学”という自分の興味を両方満たしてくれるヨガは、とてもしっくりきました。当時、私は23歳で、ヨガは身体的にも自分のエゴにも刺激的で、そんなところが特に自分に必要なことだと感じました。 

最初は、「自分はできるんだ!」ということを証明したくて続けていたような気がしますが、時間が経つにつれてヨガの奥深さに触れ、体を鍛えるだけではなく、心やマインドをトレーニングする方法になっていったと思います。

2.現在の住まいの拠点はどこですか? その場所の魅力を教えてください。

1年ほど前、コロラド州ロッキー山脈の奥にあるLeadvilleという小さな街に引っ越してきました。全米で最も標高が高い(約3110メートル)場所にある街です。

ロッキー山脈の高い山々に囲まれており、1年のうち310日間は太陽が出ています。とても寒い日も晴れていて明るく、大きな青い空を眺め、新鮮な空気を吸うことができます。

夏はハイキングや周囲の自然を楽しむのに最適です。標高が高いため、夏は短く、秋がすぐ来て9月末にはそれも終わります。何が起こるかわからない楽しみがあります。なんと今朝起きたら7.5センチも雪が積もっていました!

森から集めてきた木を暖炉で焚き、冬を過ごします。夜は、ときに動物の鳴き声が聞こえる位で、あとは完全な静寂になります。
寝る前にデッキに出て、満点の星空を眺めるのが習慣です。夜空いっぱいに信じられないような数の星が見えます。本当に素晴らしい眺めです!

3.南アフリカご出身ときいています。いつごろまで暮らしていましたか? どんな場所でしたか?

南アフリカには、生まれてから21歳まで暮らしていました。子どもの頃の生活は平穏で、子どもが育つにはいい環境に恵まれていたと思います。

残念ながら、南アフリカは肌の色が違うだけで差別をし、平和や安定を脅かすようなアパルトヘイト制がありました。当時、自分はまだ若くて無知だったため、そのことに気が付いていませんでしたが、今振り返ると、多くの人にとって困難で複雑な時代だったのだとわかります。

私は南アフリカという美しい国で育ったことに感謝すると同時に、長い間多くの人々を苦しませた不平等と不正なことが行われたこの国が回復するのには、これからまだ何十年もかかるだろうと感じています。

4.南アフリカではヨガは盛んなんでしょうか?

もう南アフリカを離れて長い時間が経っているので正確にはわかりませんが、ヨガコミュニティは南アフリカでも広がっているようです。様々なタイプの先生が新しいスタジオをオープンさせています。いつか自分もまた教えられるといいなと思っています。

5.ヨガのどういうところが魅力ですか?

ヨガはしっかりといた伝統に根付きながらも、現代の世界に適応できる点が多くあり、世の中が進化していっても応用し、進化させていくことができるものです。一日8時間、瞑想をしなくても、あるいはヨガの練習をしなくても、また精神的な悟りに到達しなくても、ヨガは、現代の複雑で多忙な生活を、平穏で意味あるものとして生き抜くための、力強く有効なスキルを提供してくれます。

たとえば、瞑想や呼吸法によって、クリアなマインドと強い意志を持って一日をスタートすることができます。アーサナは、私たちの動き方の癖や傾向を理解し、洗練させていくツールとして役立ちます。それは、ヨガをするときも、ヨガ以外のふだんの生活でも有効なのです。今、私が取り組んでいるヨガへのアプローチはまさにこれで、いかにこの古典的なツール(叡智)を現代社会に適応させるかなのです。

6.ヨガインストラクターになったきっかけは何ですか?

ヨガを教えることは、自分にとって素晴らしい創造のアウトレット(出口)だからです。大きく言うと二つの理由からヨガを教え続けています:人々を元気づけられること、そして彼らの人生にポジティブな違いを作り出せることが、私の大きな喜びとなっています。それがヨガを教える力強い目的の原点であり続け、私を満たしてくれています。

7.ジョーダンさんの専門は何ですか? どんなことを学んできましたか?

私は主に2つのゴールのために勉強し、教え続けています。アーサナの型を使って私のコースに参加してくださる生徒さんに動きやそのパターン、機能障害について教えること、同時にヨガ哲学を21世紀の現代社会に適応させることができるよう、役立つ方法や関心を引く方法を見つけることです。

8.いままで師事した先生はどんな方ですか?

多くの先生に学んできましたが、現在はヨガ以外でも動きに関するさまざまな分野の専門の先生に学んでいます。例えばフィジカルセラピストのDr. Kelly Starrettは、ストレングス&コンディショニングコーチ(S&Cコーチと呼ばれ、主にプロのスポーツチームでトレーニングメニューを作り、それ指導する人のこと)で、私に知識にとどまらず大きな影響を与えてくれています。また、生物力学者のKaty Bowman、最近ではアメリカの体操男子オリンピックチームのコーチを長い間務めているChristopher Sommerからも学んでいます。


尊敬する人、感銘を受けた本、好きな言葉…
につづく

<<最新の来日情報はこちら

取材協力 太夫 佐和子/編集 七戸 綾子