みなさんは、眠る前に、何を考えていますか?

泥のように眠たくて、考えなんて及ばないわー、という方もいるかもしれませんね。

もし、ちょっとした時間があって、気持ちよく1日を終わらせたいな、と思っているなら、「3 good things」がおススメ。

「3 good things」とは、アメリカの心理学者マーティン・セリグマンが提唱する“ポジティブ心理学”のメソッドのひとつ。
夜寝る前に、その日あった良かったこと・幸せに思ったことを3つ、紙に書いてみる、というものです。

yoggy airでは、この「3 good things」を実践している起業家の白木夏子さんを講師に迎え、このメソッドを習慣化させよう!という目的のもと、オンライン講座がスタートしました。

白木さんは、エシカルジュエリーブランド『HASUNA』の代表取締役社長であり、女性の働き方や起業、ブランディング、サスティナビリティ、SDGsなど講演活動を行い、社会貢献にも造詣が深い方です。その白木さんに、「3 good things」がなぜ良いのか、どんな効果があるのかをお聞きしました。




──白木さんご自身が「3 good things」を実践するキッカケは何でしたか?

3~4年前ほどから始めたのですが、そのころはメンタルで落ちることが多かった時期だったんです。『HASUNA』を立ち上げて10年以上経ち、少し立ち止まって考えていたり、あと特に最近では外的要因…たとえばコロナ禍など、心が疲れる要因が多くあったんです。

そんななかで私がズドーンとメンタルが落ちたままだと、会社のメンバーもそれに引きずられて暗くなってしまう……。これはいけないと思い、いろんなメンタルトレーニングを試してみたんです。そのなかで、この「3 good things」は手軽だし、効果が見えやすかったんです。

──寝る前に、その日あった3つの良かったことを紙に書き出すだけ、ですね。白木さんは具体的にどう変わりましたか?

まずは、よく眠れるようになりましたね。人間……というか動物ってどうしてもネガティブ思考になるんですよね。これは生物として命を守るために常に危険と隣り合わせという宿命を課せられ、外敵からいかに己を守るか、となると心配性というか、ネガティブにならざるを得ない。フランスの哲学者アランも『幸福論』で「悲観主義は気分によるものであり、楽観主義は意志によるものである」 って言っているんですけど、そのとおりだなって。だから、楽観的に、ポジティブになるには、自ら楽しくなろう!って思わないといけないんだと。

そこでいざ実践しようと思うと、その日にいいこと3つもある!?って思いがちなんですけど、どんな小さなことでもいいんです。眠る前に幸せなことを考えるということだけなんですけど、それが睡眠に大きく影響しました。

よく眠れると翌朝には心身ともにリセットされるし、メンタルも安定してきたと実感しましたね。

──どんな小さな幸せでもいいなら、ありそうですね。

お味噌汁がおいしかったとか、スーパーのレジが空いていたとかでいいんです! そして、それがどうして幸せと思ったのか、どうしてこうなったのか、深堀りするのも大事なんです。幸せになるのが上手になるはずです。


──yoggy airでは、夜20時台のクラスとして、『白木夏子の≪3 good things≫習慣術』を開催していただいてますが、参加者みんなでやる利点ってなんでしょう?

いろんな方の幸せなことを聞くと、ああ、こういう幸せもあるんだ、って気分よくなれますよね。私もそういうことあった!とか。共感によって幸せの感度が上がっていくんです。

それに、「3 good things」って自分の幸せのこと書き出すんですが、それをみんなでシェアして何かを感じていくということは、どんどんまわりのこと、地域のこと、社会のこと、地球のこと、と広げていって、その幸せを考えていくことにつながると思うんです。そこからサステナブルライフだったり、SDG'sにつながっていけるんじゃないですかね。

──なるほどです。その一歩にもなりそうですね。

私も毎日「3 good things」できているわけではないのですが、オンライン講座の場で、みなさんの幸せを聞くだけでも、いい時間だなって感じています。

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今回お話をうかがって、エシカルジュエリーブランド『HASUNA』も、まわりの人を幸せにしていく企業…というより、発信源といった印象でした。

白木さんがイギリスの大学の留学時代に訪れた南インドの鉱山では、子どもも大人も劣悪な労働環境で働いていたそうです。電化製品やジュエリーとして使われるための鉱石は、私たちが便利で豊かで美しい生活を過ごすためであって、こういう人たちの犠牲で成り立っている。この現実を目の当たりにしたのが、『HASUNA』を立ち上げるキッカケだったそうです。

まずは自分の「3 good things」から。そこから、家族・友達・同僚なども幸せの輪に巻き込む、というのもこれからの幸せのあり方、ひいては自分に還元される幸せとして、キラキラと未来が輝きそうです。

取材・編集 竹内まり子