女神ラクシュミーは、日本では吉祥天という名前で知られているインドの神さまです。美と豊かさ、幸運を司ります。

さっそく、イラストを見てみましょう。
描かれるイラストには、それぞれに意味があるのがインドの神々の特徴です。

女神ラクシュミーは、常に大きな蓮の花の上に座り、周りにも蓮の花があります。大きな蓮の花は、神聖なる真理を象徴し、周りの蓮の花は、豊かさ、美、純粋さ、スピリチュアリティの象徴です。それが、女神ラクシュミーの司る力です。

女神ラクシュミーの手のひらと持っている壺から、とめどもなく流れる金貨は、豊かさを象徴しています。その豊かさは、物質的な豊かさだけでなく、精神的な豊かさ、双方の象徴です。社会の中で必要な物質的な豊かさと、ヨガの探究に必要な精神の豊かさの恩寵を与えてくれます。

女神ラクシュミーが持っている4本の手は、人生の4つの目的を表しています。

1つ目は、誰しもの持つ天命や使命とも説明されるダルマ、法。
私たちの誰もが、他の人にはない特有の使命をもって生まれてきたと言われます。家庭で家族を育てるダルマは主婦ならではの天命。社会を陰から支える大事な役割です。人によっては、会社を経営するような役割をもって生まれている場合もあれば、営業や企画において天性の力を発揮するということもあります。それは今生において持っている役割が違うということになります。

ヨガの教えでは、他人の役割を完璧に全うするよりも、自分の役割を未熟でいいからこなすことが自分のダルマを果たすことだと言います。隣の芝生は青く見えるという諺がありますが、隣の芝生をきれいに刈るのではなく、大変でもうまく刈れなくても自分の家の芝生を刈るのが自分の役割だということになります。

2つ目は、豊かさや繁栄、衣食住の安全とも言われる富、アルタ。私たちは、自分の使命を果たしながら、豊かさや繁栄を手にするのが人生の目的の1つと言います。だからこそ、富を司る女神ラクシュミーが人々をサポートしているのです。幼き赤子が母親のミルクをねだればそれが与えられ、学生が勉強のための教材を欲すればそれが与えられ、社会人になって必要なものを願えば、それが与えられるように、インドの神さまは、私たちの年齢や状況に応じて願いを叶えると言われています。

3つ目は、欲望とも訳されるカーマ、愛。人は愛されたい、愛したいという欲求を持つものです。また、自然界も、私たちに愛を求めます。私たちが自分を愛するのはもちろん、人を愛し、自然を愛し、喜ばせるのも、みんなに共通の天命の1つと言われます。

4つ目は、解脱や究極の自由と訳されるモクシャ、悟り。人間の神経系統は、動物たちのそれとは違って、神聖な仕組みになっており、誰しもが悟りを得る可能性を有していると言われます。内なる神を悟るために、人生があるのだとも言います。3つ目の欲望や愛を、4つ目の究極の自由へと向かわせていくことで、より進化を促します。

女神ラクシュミーは、人生の目的に沿った物質的な豊かさから精神的な豊かさまで、人々を導いていると言われます。その導きは、ラクシュミーの後ろで二頭の象が水をかけ、祝福しているところで象徴されます。この水は、常に流れ続ける神聖な水。そして、それは人の内的、外的、その双方の豊かさに向かって常にガイドし続ける女神の恩寵を象徴しています。

美と豊かさ、幸運の女神として、私たちのネガティブな状況を取り去る恩寵を与えてくれる神さまが、女神ラクシュミーです。

インドの神々の祝福や恵みを得たいときは、イラストやステッカーなどを身近に持つのもいいですし、祭壇にイラストを置いてもいいですね。インドにおける神さまとは、私たちの内側にいるのと同時に、猿から人間に進化するのと同じように、人間もいずれ聖者や神々へと進化するという考え方があります。となると、まずは仲良くなることが大切です。

イラストをちらっと見ることからはじめて、手を合わせてお願いをしたり、叶ったらお礼を言ったり、お花をお供えしたり、敬いのある人間関係の延長で関係性を作っていくのがおススメです。

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文 ヨガインストラクター キミ/協力 SitaRama/編集 七戸 綾子