美と豊かさの女神ラクシュミー
ヨガに登場するヒンドゥの神さまたち vol.4
さっそく、イラストを見てみましょう。
描かれるイラストには、それぞれに意味があるのがインドの神々の特徴です。
女神ラクシュミーの手のひらと持っている壺から、とめどもなく流れる金貨は、豊かさを象徴しています。その豊かさは、物質的な豊かさだけでなく、精神的な豊かさ、双方の象徴です。社会の中で必要な物質的な豊かさと、ヨガの探究に必要な精神の豊かさの恩寵を与えてくれます。
1つ目は、誰しもの持つ天命や使命とも説明されるダルマ、法。
私たちの誰もが、他の人にはない特有の使命をもって生まれてきたと言われます。家庭で家族を育てるダルマは主婦ならではの天命。社会を陰から支える大事な役割です。人によっては、会社を経営するような役割をもって生まれている場合もあれば、営業や企画において天性の力を発揮するということもあります。それは今生において持っている役割が違うということになります。
ヨガの教えでは、他人の役割を完璧に全うするよりも、自分の役割を未熟でいいからこなすことが自分のダルマを果たすことだと言います。隣の芝生は青く見えるという諺がありますが、隣の芝生をきれいに刈るのではなく、大変でもうまく刈れなくても自分の家の芝生を刈るのが自分の役割だということになります。
3つ目は、欲望とも訳されるカーマ、愛。人は愛されたい、愛したいという欲求を持つものです。また、自然界も、私たちに愛を求めます。私たちが自分を愛するのはもちろん、人を愛し、自然を愛し、喜ばせるのも、みんなに共通の天命の1つと言われます。
4つ目は、解脱や究極の自由と訳されるモクシャ、悟り。人間の神経系統は、動物たちのそれとは違って、神聖な仕組みになっており、誰しもが悟りを得る可能性を有していると言われます。内なる神を悟るために、人生があるのだとも言います。3つ目の欲望や愛を、4つ目の究極の自由へと向かわせていくことで、より進化を促します。
美と豊かさ、幸運の女神として、私たちのネガティブな状況を取り去る恩寵を与えてくれる神さまが、女神ラクシュミーです。
インドの神々の祝福や恵みを得たいときは、イラストやステッカーなどを身近に持つのもいいですし、祭壇にイラストを置いてもいいですね。インドにおける神さまとは、私たちの内側にいるのと同時に、猿から人間に進化するのと同じように、人間もいずれ聖者や神々へと進化するという考え方があります。となると、まずは仲良くなることが大切です。
イラストをちらっと見ることからはじめて、手を合わせてお願いをしたり、叶ったらお礼を言ったり、お花をお供えしたり、敬いのある人間関係の延長で関係性を作っていくのがおススメです。
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文 ヨガインストラクター キミ/協力 SitaRama/編集 七戸 綾子