自転車こぎこぎ さくらの木

なにかいいことが ありそうな

さくらを撮って きみに送ろう
帰りはおやつを ひとつ買おう
いや ふたつ買おう
みたらし団子か マカロンか
用事はないけど 会いにゆこう

自転車こぎこぎ さくらの木

一日一福 今日は晴れ

朝いちばんに聞いたのは
ざあざあと鳴く 雨の音

昨日のもやもや ぐっちゃぐちゃ
忘れたつもりが胸の奥

いいんだ 決めた 今日はゆるす
二度寝もいいさ ぬくぬくしよう

まどろみながら聴いたのは
ばちばちと打ち付ける 雨の音

雨はやさしい 急かさない

よいしょと起きて窓を開ける
ぬるく湿った重い風

この匂い知ってる なんだっけ
そうか もうすぐ 夏なんだ

一日一福 今日は雨

暑い 暑い 暑い
ビール ビール ビール

Yシャツが張りつく へばりつく
流れる汗もそのままに
ビールマーチで今日もゆく

涼しい部屋が俺を呼ぶ
冷えたビールが俺を呼ぶ

ぷしゅ ぷはーっ

一日一福 今日は暑い

ドキドキします スタートライン
約束したのは 8秒台
大山さんと一緒に走るんです

スタートしました よーいドン!
ぶんぶん振ります 両腕を
運動靴の底が分厚くて
地面がぐんぐんしてきます
早く 早く 追いつかなくちゃ

「8秒9」

先生の声を聞いたら笑けてきました
大山さんとふたりでげらげら笑って
列に戻らなかったので先生に怒られました

一日一福 今日は風

悲しいことがありました
嬉しいことがありました

それでもいつも この道を
わたしは静かに歩きました

こんなに年を重ねても
わたしはまっさらな道が好き
まだ誰も歩いていない
足跡のない雪の上
生クリームのような白い道を
ざくざくと踏みしめて歩きます
 
悲しいことがあるでしょう
嬉しいことがあるでしょう

それでもこれから この道を
わたしは静かに歩きます

一日一福 今日は雪

* * *

ことばをお聴きのみなさまへ

こんばんは。この春からあたらしい生活がはじまる方もいらっしゃるでしょうか。こどもの頃は、学年が変わったり卒業したり、節目が外からやってきました。おとなになるとそうした節目がだんだんなくなっていきますが、でも、自分で節目を自由に決められるのが、おとなのいいところだなと思います。

第十一夜のキーワードは「日々の至福を感じる」でした。楽しいこと、うれしいこと、味わい深いこと、ほっとすること、笑うこと、泣くこと……あなたの「福」はどんな瞬間でしょうか。よかったら聴かせてください。バックナンバーへのおたよりも、4月に向けて「あなたが大切にしたいことはなんですか?」というみなさんのオリジナルのキーワードも、楽しみにお待ちしています。こちらからお送りください。

つづく日々、あたらしい日々に、一日一福を。


古金谷あゆみ がガイドをつとめる「書く瞑想」クラス情報
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書く瞑想「わたしにかえる時間」満月編
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イラスト 内田 松里/文 古金谷 あゆみ