むかし、むかし、ではなくて
すこし、みらい、のこと。
あるところに“第三者屋さん”がありました。

第三者屋さんは、
独自の天秤を使って
こまっているふたりの関係を測定し
第三者として立ち会ってくれるお店です。

*

ある日、
LとRというお客さんがやってきました。

Lはこう言います。
「なんでわかってくれないの。さみしい。
 ひとの気持ちも考えて」
Rはこう言います。
「一緒にいるのになんでさみしいの。
 感じ方のもんだいを言われてもこまるよ」

第三者屋さんは
さっそく、ふたりの考えを天秤にかけました。
するとどうでしょう?
天秤はぐらんぐらんとゆれつづけ
とまる様子がありません。

「もっと重く考えて」とLが言いました。
「もっと軽く考えて」とRが言いました。
ふたりはため息をついています。

「この天秤は
 どちらかが合わせたり
 どちらかが我慢したりしていると
 バランスがとれません。
 どちらがたくさん我慢しているか
 みてみましょう」

*

第三者屋さんは
ふたりの想いを天秤にかけました。
するとどうでしょう?
天秤はぴたりと水平な位置で止まったのです。

Lは怒って言いました。
「そんなわけない。こんなに我慢してるのに」
Rも怒って言いました。
「とんでもない。こっちのほうが我慢してる」

第三者屋さんは
Lの想いをRの手のひらに
Rの想いをLの手のひらにのせました。

さみしいと言っていたLの想いは
うさぎのような形をしていました。
小さく丸まってふるえています。
Rはだまって、うさぎをなでてあげました。

第三者屋さんはRに向かって
「あなたは、しばらく、
 そのうさぎのお世話をしてみてください」
と言いました。

感じ方のもんだいだと言っていたRの想いは
本のような形をしていました。
「しなければならないこと」という本には
たくさんの付箋が貼られていました。
Lがふーっと息を吹きかけると、付箋は
タンポポの綿毛みたいに飛んでいきました。

第三者屋さんはLに向かって
「あなたは、その本のすべてのページに
 花丸でもOKでもなんでもいいので
 もうしなくていい印をつけてみてください」
と言いました。

*

「だいじょうぶです。
 それぞれの想いをお持ち帰りになった方は
 今までの我慢とはちがう
 第三のアイディアを思いつきます。
 みなさんそうですよ」

LとRは顔を見合わせました。

「信じてみてください。
 うたがったり、あきらめたりした瞬間に
 第三のアイディアは消えてしまいます」

LとRは同時に言いました。
「もし思いつかなかったら?」

「だいじょうぶです。
 もしどうしても思いつかなかったら
 またここへいらしてください。
 そのときは、わたしと一緒に3人で
 “第四者屋さん”へ行きましょう」

***

ことばをお聴きのみなさまへ

残るキーワードも、あと2つ。連載満了を記念して、12月に「書く瞑想」ワークショップを企画中です。どうぞお楽しみに!

おたよりをご紹介します。

◯第十四夜「探求する」
長く続かない、そんな自分を責めてしまう……でも、私にはやりたいことがある。そう信じて日々を過ごしているけど、どれも何かしっくりこない。「コレだ!」と思ったものも、やはり通過点でしかありませんでした。 どちらかというと、文系が得意だけど、理系が好きで大学受験は理系の分野に挑戦しました。友人や家族からは好奇心旺盛で、何でも小器用にこなし、料理も得意、でも、その多才さを仕事にまったく活かせてないね、と言われています。「今夜のことば」を読んで、今の私のモヤモヤを見事に言い当てられた気がして、安心感に浸りながら涙が溢れてきました。 私の心に浮かんだことは、「一緒にいて楽しい人とつながっていたい。できないかもしれないけど、薬膳カフェを開きたい、ITエンジニアになりたい、文章を書く仕事をしたい」でした。ありえないほどピッタリなタイミングで、知るはずもない人から「ポジティブなヒント」を告げられた時は、神がその人を使って伝えてきたのだと思うことにしています。(私は無宗教ですが、「自然の摂理=神」という意識はあります)だから、著者の方が伝えられた時も、私が文章を読んで気づかされた時も、そこに神が宿ったのだと感じました。
(あやっぺさん)

あやっぺさん、ありがとうございます。うれしいです。きっと、このおたよりも、これからのあやっぺさんの姿も、ぴったりなタイミングで、ぴったりな誰かに、「ヒント」として届いていくと思いました!

どのキーワードへのおたよりも歓迎です。
どうぞこちらからお送りください。
ではまた第十八夜「時代とともに呼吸する」でお会いしましょう。


古金谷あゆみ がガイドをつとめる「書く瞑想」クラス情報
朝のジャーナリング~書く瞑想~
書く瞑想「わたしにかえる時間」満月編
書く瞑想「わたしにかえる時間」新月編

イラスト 内田 松里/文 古金谷 あゆみ