友人が梅の実を分けてくれるというので、のこのこと出かけて行ったら、数十キロはあろうかというほどの大量の青梅が。てっきり、彼らが縁のある郊外の方の梅だとばかり思っていたら、自宅の隣の、ごく普通の民家の梅の木の梅だという。しかも梅の木の持ち主は一粒もいらないとの事。どうも都会の人は梅や柑橘類、柿なんかも成らせっぱなしで、あまり興味がない人が多い気がする。もったいない話だが、採るのが手間、甘くないから、加工するのが億劫など、その理由もわかるが。

さて、なるべく黄色みがかった3キロ弱ほどを選り分けさせてもらって持ち帰ったが、香りが全く立っていない。どうも香りがしないと梅仕事の気分も湧かないものだ。よって、数日間追熟させる事にした。3〜4日でずいぶん黄色みが増し梅の良い香りがしてきたので、ジャムか梅干しかと迷ったが、結局梅干しにする事にした。

雑な言い方かもしれないが、塩さえあれば梅干しは出来る。わたしはここ数年毎年梅干しを漬けているが、農家の友人の作る、塩が10%の梅干しを食べてから、塩は10%と決めている。今後も多分10%でいくと思う(18〜20%の塩で漬けるのが一般的)。用意する物は梅の10%の塩、焼酎適宜、そしてジッパー付きポリ袋。

梅は流水でよく洗ってから、完全に水分を切る。成り口の黒いヘタを金串や楊枝など尖ったもので取り除き、焼酎にくぐらせてからジッパー付きポリ袋へ入れる。そこへ10%の塩を投入。おわり(本当はおわりじゃないけれど)。これを毎日転がしてまんべんなく塩を浸透させ、梅酢を引き出す。塩が完全に溶けて梅酢が出て来てからも、日に何度かは動かしてやる。じっとしている水分にはカビが生えやすいが、毎日動いていればそのリスクは抑えられる。液漏れすることもあるので、もう一枚ポリ袋をかけるか、ボウルやバットなどに入れておくと安心だ。

意外と早く梅酢が上がって来たので、赤じそを入れた。もちろん赤じそは入れなくてもいい。むしろ入れない方が「10%の塩だけで漬けた」という自負の気持ちが強くなると思う(自己満足に過ぎない)。本当のところ、赤じそを入れれば「ゆかり」というおまけが付いてくるのがねらい。いやいや、その色と香りも相当すばらしいのだが。入れる場合は、梅の重量の2割ほどの赤じそを使う。葉だけを摘み取って量り、その2割の塩を用意する。赤じその葉は良く洗い乾かしておく。塩の半量を揉み込み、アクが出て来たら捨てる。もう一度残りの塩で揉んでアクを絞り、梅酢の上がったポリ袋へ。

赤じそをケチると中途半端な色になる(経験談)。又、塩揉み済みの赤じそも売っているが、色が悪くなるので決して使わないこと。仕込みの作業はとりあえずここまでで、梅雨明けを待つ。まずは1kgの梅から、いかが?

写真&文 中村 宏子