「雑穀」とひとくくりにされ、かわいそうな雑穀。その中でも「擬似穀類」と分類されるキヌアはさらに肩身が狭そう。雑穀と聞いて思い浮かべるのは、きび、あわ、ひえなど。オーツ麦やハト麦、ソバだって雑穀だ。キヌアは南米産がほとんどで、日本でのキヌアの栽培は研究段階であるようだから、まだまだなじみが薄い。

キヌア、キノア、キンワとも言う。粟に似た粒を煮るとプチッと輪っかのように開くので、キンワ=金の輪だと勝手に思っていたが、外国語の表記に由来するらしい。近所のスーパーにはなかなか売っていないかもしれないが、自然食品店のような店ならたいていは売っている。

雑穀をご飯に混ぜ込むのが違和感の無い時代。主食に事欠く時代ならさもしい感じがしただろうが、何種類もの雑穀が入ったご飯は、ちょっとおいしそうにすら感じる。しかし、ご飯だけではもったいないので、色々な料理に試したい。キヌアは少しクセがあるので、何度か水を換えよく洗う。あげるザルも、目の細かいものでないと網目から流れてしまう。茶こしを使えば心配ない。鍋に洗ったキヌアと倍量の水を入れ火にかける。弱火で15分ほどで炊きあがる。蓋をする必要は無い。

これをどう使うか?楽しい食感だけで味の邪魔をしないので、わたしはにんじんやごぼうのサラダに加える事が一番多いが、他にもドレッシングに混ぜてみたり、スープに入れてみたり、ハンバーグの種にも、粉ものの料理にも使える。
密閉容器に入れ、冷蔵庫の冷たい場所で保存すれば1週間くらいは保つので、実験を兼ねつつ、色々な料理に使ってみたらいいと思う。

写真&文 中村 宏子