春から初夏に掛けてのマメ科の野菜をざっと分類すると、えんどうの仲間の絹サヤやスナップえんどう、砂糖ざやなどと、さやいんげんとモロッコインゲンのインゲングループ、さやは食べずに豆を食べる空豆、枝豆がある。枝豆はダイズ属で、時期的にもちょっと仲間はずれだ。
イタリアでは空豆の若い豆を生食するという。それに羊乳で作ったペコリーノ・ロマーノというチーズを合わせ、赤ワインと共に楽しむのが春の味覚だそう。5月1日には、イタリアの各地で空豆とペコリーノチーズの収穫祭もあるらしい。

そんな初夏の気分を、一皿のパスタ料理に盛り込んでみる。手に入るだけのさまざまな青いマメ科の野菜とペコリーノチーズを、“小さな耳”という意味のオレキエッテと合わせて。パスタは是非とも手打ちして欲しい。意外と簡単に作れて、そのおいしさの虜になるはず。

2人前の分量のパスタ生地を作る。ボウルに強力粉120gと塩小さじ1/2を入れる。水分量は最大で50%(この場合60cc)だが、季節(湿度)によって変わってくる。1割ほどの水を残して、粉に水を加える。最初はフォークなどで全体を混ぜ、粗い塊になってきたら、手で粉と水を馴染ませる。粉がどうしても残るようなら、取っておいた水を少しずつ加えていく。この段階ではこねようとは思わなくていい。多少ムラがあっても、生地をひと塊にする事を目指す。なんとかひと塊になったらポリ袋に入れて空気を抜き、常温で20分間休ませる。

生地を台の上に取り出し、手のひらに体重を乗せて向こうに転がす。二つ折りにして90度向きを変え、とじ目を閉じるように向こうに転がす。この動作を20回ほどくり返し、再びポリ袋に入れ空気を抜き、20分間休ませる。同じ作業をもう一度くり返し、こね上がった生地を少し押して平らにし、4等分に切る。1つの生地を転がして、1.2cmほどの棒状にする。飴のように、1.2cmほどの長さに切る。切り口を上にして、カトラリーのナイフの刃のギザギザ部分を生地の断面の一番奥に置く。そのまま圧をかけつつ、ナイフを手前にくるんと引く。タカラ貝のように丸まる。タカラ貝を左手の親指に乗せ、貝の内側を表に広げるように親指にかぶせる。帽子のように立体感を持たせようと意識するときれいに仕上がる。乾いた布巾か木製の板の上に並べていく。

鍋に湯を沸かし、塩を入れる。パスタと青い豆を一緒に茹でる。パスタが浮き上がって来たら1分ほどで茹で上がり。網杓子ですくうかザルに上げてからボウルに入れ、オリーブ油で和えて皿に盛り、ペコリーノ・ロマーノチーズ(手に入らなければパルメザンチーズ等でも)を削り、黒こしょうを挽く。もし空豆がある場合は、薄皮をむきオリーブオイルを入れたフライパンで両面焼き、ここへパスタと青い豆を入れて和える。塩味は、塩分が強めなペコリーノチーズで調整する。

パスタをすぐに茹でない場合は、バットにオーブンペーパーを敷いて並べ冷凍し、凍ったら保存袋に入れて保存する(最長1ヶ月)。冷凍パスタのゆで時間は、保存期間に比例してどんどん長くなるので、ゆで加減を見極める事。手打ちのショートパスタはアルデンテよりも、しっかりと茹で上がっている方が断然おいしいのである。

写真&文 中村 宏子