米農家の“早炊き”
vol.9
鍋で炊飯するには火加減の調整が必要となる。といっても一度きりのことなので普通は難なくできるのだろうが、うかつなわたしは2回に一度は吹きこぼしてしまい、ガスレンジの掃除というトホホなおまけがついてくる。それでも普段使いの鍋でご飯が炊けてしまうというシンプルさが気に入っていたこと、加えて、鍋でご飯を炊くなんてなんだかイケてるではないかという気分の良さもあり、思いのほか長く続いていた。
その手軽さと美味しさにすっかりはまり、「たった3分やで、3分!」と得意になって触れ回っていたところ、筑波山の麓で無農薬米を作っている「お米農家 やまざき」さんのおすすめがナント「圧力鍋で1分」というではないか。
炊き方をざっくり説明すると、白米の場合は米を洗ってザルにあげ、水(米カップ1に対して200cc)と合わせて蓋をして強めの中火にかける(浸水はしない)。しばらくして圧力がかかったら弱火にして1分。火からおろして5~10分蒸らすというものだ。うちの圧力鍋の場合なら、米(2合)をとぐところから茶碗によそうまでがおよそ20分。
(*詳しい炊き方は、お米農家やまざきさんのウェブサイトにある「おいしい食べ方」参照)
さすがは米農家さん~! と唸っていたらレシピ担当の奥さま、山崎瑞弥さんに話をうかがう機会があった。無類の道具好きということもあり、こと炊飯に関しては実にさまざまな鍋や炊き方を試してきたという山崎家。自分たちの作るお米(こしひかり系)には圧力鍋が合っていること、そして、育児に手のかかる慌ただしい日々にあっても手間なく炊き立てのご飯が食べられることから、今の方法に落ち着いたそう。日本人の米離れがいわれて久しい今、「簡単で美味しいならそれが一番。もっと気軽にご飯を炊いて、炊き立ての美味しさを実感してほしい」との想いもあるそうだ。
写真&文 松田 可奈