アシュタンガヨガ、シヴァナンダヨガ、パワーピラティス。この3つのスタイルの共通点は、いつも同じポーズやエクササイズを決まった順序で練習するという型があること。日々練習を続けている先生たちに、その魅力を語っていただきました。

― それぞれのシークエンスが生まれた背景を教えてください。

シズ先生(以下シズ:パワーピラティス/元関東ピラティスインストラクター) パワーピラティスはクラシカルと呼ばれる流派で、ピラティス創始者のジョセフ・ピラティス氏(1883~1967)の指導をできるだけ忠実に守り、流れを変えずに行います。

重力の抵抗が少ない仰向けの姿勢から立位へ、人間の発達と同じような順序で構成されています。最初の4つのエクササイズが基本で、後半にはバリエーションが加わっています。

アズサ先生(以下アズサ:アシュタンガヨガ/関東ヨガインストラクター) アシュタンガヨガはシュリ・K・パタビ・ジョイス師(1915~2009)が考案しました。呼吸と体の動きを連動させるヴィンヤサスタイルが特徴です。

一般的にヨガスタジオで行われているレッドクラス(指導者のカウントに合わ せて練習するクラス)はファーストシリーズ。ファーストシリーズは太陽礼拝の後に負荷が少ない立位のポーズで体を温め、柔軟性が高まったところで深い前屈のポーズ、そしてフィニッシングと呼ばれるいくつかのポーズを行います。

ノリコ先生(以下ノリコ:シヴァナンダヨガ/関東ヨガインストラクター) 今あるシヴァナンダヨガのシークエンスを考案したのは、創始者スワミ・シヴァナンダ師(1887~1963)の高弟スワミ・ヴィシュヌ・デヴァナンダ師(1927~1993)です。

クラスはマントラ(サンスクリット語の真言)の詠唱から始まり、2種のプラーナーヤーマ(呼吸法)、スーリヤナマスカーラ(太陽礼拝)、12種のアーサナ(ポーズ)、シャヴァーサナ(リラクゼーション)、マントラの詠唱で終わります。「なんでヘッドスタンド(頭で立つ逆転のポーズ)からなの?」とよく聞かれますが、アシュタンガヨガとは逆ですよね。

アズサ そうそう。アシュタンガではフィニッシングでヘッドスタンドをします。

ノリコ 心も体もリラックスできるように12種のアーサナが組み立てられているのですが、スシュムナ(プラーナという生命エネルギーの通り道とされる)が通っている背骨の上から下へ流れを調えていきます。自分で練習していても、だんだんエネルギーを落ち着かせていくような流れだなと思います。でも、最初に私が教わったのは「ヴィシュヌ・デヴァナンダ師が決めたから」という理由でした(笑)。

シズ そういうの、よくあります(笑)。なぜって聞くと「ジョー(ピラティス氏の愛称)がこうしたからさ」って。もうとにかく理屈なしにやりなさいと教えられますね。でも、そういうのもいいなと思います。すべてに理由を求めなくてもいいんじゃないかなと……。

アズサ&ノリコ うん、うん。

「型どおりに練習するメリットや魅力とは?」につづく

取材・文 古金谷 あゆみ/「スタジオ・ヨギーのある生活」vol.22より