春や秋は、あまり睡眠の悩みを訴える人は多くありません。真夏、真冬など、暑すぎたり、寒過ぎたりする環境は、どちらも睡眠を妨げる要因になります。

暑くて寝苦しい季節に比べて、寒い場合は、布団の枚数やねまきを暖かくしたり、部屋の温度を上げれば睡眠環境として「保温」はされます。

より快適に眠るためには押さえるべきポイントがいくつかあります。今回は、寒い季節に快眠するための、7つのポイントをご紹介します。

1.足先、手先の冷えをとる

まず、スムーズに寝つくためには、 冬も夏と同じく、体の末端血管を開いて深部体温を体の外に放熱させることが重要です。特に、寒さで足先が冷えたままでは、熱が逃げづらく寝つきに影響します。

寝る前の入浴は、リラックスできるだけでなく、深部体温を一旦上げてその後下がりやすくし、体の表面からの放熱を促して眠りに入るきっかけをつくります。忙しくて時間がない場合は足湯が効果的です。お湯につけた足先を、軽く手でマッサージすると、足だけでなく手先も温めることができて寝つきがよくなります。お風呂に入ったり、足湯をする際に、アロマオイルや入浴剤などでお好みの香りを使うと、よりリラックスして快眠にもプラスになるでしょう。

2.敷き寝具で工夫

入浴や足湯でせっかく体が温まったのに、布団に入ったときに寝具が冷たいと、ヒヤッとして血管が引き締まる感じがしますよね。そんなことのないよう、秋から冬にかけては、暖かい風合いの寝具に衣替えをするのがオススメです。

その際、ついつい毛布や布団を上に重ね掛けしがちですが、実は、掛け布団を増やすよりも、敷き寝具を暖かくする方が保温効果があります。暖かな素材の冬用シーツなどに替えたり、綿毛布を一枚敷いてみましょう。羽毛布団を掛ける場合は、体の上に羽毛布団を掛けるようにする方が、羽毛の保温効果を発揮します。

3.パジャマの素材で寝汗対策

ねまきやパジャマも肌触りのよい、ほっこりした感触の木綿素材のものに替えてみるのがおすすめです。寒いからといって、ねまきの重ね着は寝返りを妨げたり、入眠に必要な深部体温の降下をスムーズにいかなくしてしまいます。

また、フリースは部屋着に着て過ごすには暖かくてメンテナンスも楽ですが、寝る時は着替えることをお勧めします。睡眠中は無意識の間にかなりの汗をかいています。吸湿性の悪いフリース素材を着て寝ると、布団の中が蒸れて寝苦しく快眠できません。

靴下を履いていないと冷えて寝付けないという方もいますが、快眠のためには足先の血管が拡張して熱を逃がすことが基本です。布団に入ったら裸足がベストなのですが、もし、靴下をはく場合は、足先の血行を妨げない、ゴムの締め付けがゆるめの靴下で、寝ている間に脱げてしまうくらいのものがよいでしょう。

4.寝具を温めても温めすぎない

さらに寒くなって、湯たんぽや電気毛布、布団乾燥機を使ってあらかじめ布団の中を暖める場合のポイントです。湯たんぽには、身体の末端を温めることで寝つく際に深部体温が下がりやすくし、寝付きをスムーズにしてくれます。

布団乾燥機はもちろん寝る前に温めて消して寝るという使い方ですが、電気毛布も寝る前から点けておき、布団に入ったら消すか3時間位のオフタイマーをセットすることがおすすめです。一晩中点けていると、布団の中を全体的に暖め過ぎて、体温が下がりにくくなってしまうのと、体が乾燥してしまい、睡眠中に喉が乾いたり皮膚の乾燥からかゆみを起こして、どちらも眠りを妨げる可能性があるのです。

5.眠りに最適な室温・湿度設定をする

布団の中の保温に対して、次は、部屋の環境ですが、寝室の暖房を16~19℃位の間に設定するのがよいと考えられています。

寝室の温度が13℃を下回ると寒さで目覚めてしまい、寝つきも悪くなってしまうので、冷え込みすぎには注意しましょう。夏も冬も、温度だけでなく湿度が快眠に影響するので、冬は加湿器を点けたり、濡れタオルを干すなどして、寝室内の湿度は50%は保つように心がけるとよいでしょう。

 さて、冬の寝室環境について温度の点からお話ししてきましたが、快眠の環境にとって温度と共に重要なのが「光環境」です。それには、寝室の照明だけでなく、寝る前に過ごすリビング・ダイニングなどの照明も含めて考えていきましょう。

6.寝る前は、少し暗めの照明に

明るい光は交感神経を活性化して、寝つきを悪くすることがあります。夜、眠りに就こうとする時間は、徐々に明るさを抑えて、交感神経を鎮め、副交感神経が優位になる環境にすることが大切です。

具体的には、赤っぽい暖色系の照明を、直接光が目に入らない間接照明として用いる方が心地よい眠りには望ましいのです。一般的なオフィスの室内が明るさが400〜500ルクスなのに対してその10分の1くらいの明るさにあたる少し暗めのカフェやバーくらい、を目安に考えて眠るまでの時間を過ごしていただけたらよいと思います。

寝つきをよくする快眠のためといっても、夜、帰宅後いきなりこの暗さにセットするというよりは、帰宅してしばらくして、食事が終わったら天井のシーリングライトを調光して暗くする、また何かのタイミングでもう一カ所消す、というように、一カ所ずつ段階的に暗くしていくという感じです。

室内照明だけでなく、パソコンや携帯、スマホなどのディスプレイを寝る直前まで長時間見ることも、交感神経を活発にして脳を覚醒モードにしておくことになります。寝つきが悪いと感じているときは、照明同様に、段階的に遠ざけることをおすすめします。

睡眠中は真っ暗だと、心理的に不安感を持ちやすく、また、夜中に起きた時に周りが見えずに転んで危ないこともあります。寝ている間は、真っ暗よりは、何となく室内が見える程度にするのが望ましいでしょう。照明はできれば床に近い、低い位置にセットできるとよりよいです。

7.朝日を感じられる隙間をつくる

一方で、 目覚めには朝の明るい光が体内時計をリセットしてくれるのでとても有効です。起きる前の目を閉じた状態でも、目は光を感知しそれによって身体は目覚める準備をします。曇っている日でも、太陽の光は室内照明の約20倍の明るさです。

遮光カーテンで真っ暗な中でアラームの音だけで目覚めるよりも、徐々に朝日が入ってくるような寝室環境で寝起きした方が、スムーズに起きることができるのです。カーテンの隙間を少しつくって、朝日が入ってくるようにして寝るようにすると翌朝の目覚めにはプラスになります。

寒い季節には、布団から出るのがツラいですが、お休み前に暖房のオンタイマーをセットしておいたり、好きな「おめざ」 を何か一品準備して、頑張って起きるハードルを少し下げるのもよいですね。

ちなみに、私は起きる時刻の30分前から暖房のタイマーをオンにしておき、温かい紅茶を入れることが、目覚めの儀式のようになっています。

暖かい布団から出るのに勇気が必要な季節がきますが、朝の目覚めがその日のよりよい眠りのスタートになります。ぜひ、ご自身なりに工夫してみてください。

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