なんだか疲れるな、だるいな、そんな重だるい気分のときはありませんか?
かといってこれといった決定的な理由がみつからない。
もしかしたら、日ごろのさまざまなストレスが積み重なって体が信号を発しているのかもしれません。

ふと目についた雑誌『PRESIDENT』の表紙に目を奪われました。
「脳疲労」という言葉に違和感なく、馴染みを覚えてしまいましたが、この言葉は、九州大学名誉教授の藤野武彦先生が、数十年前に提唱し始めた造語だそうです。


脳疲労ってどういう状態なのでしょう? 以下抜粋です。

「食べすぎ、不眠、気分が沈む……あなたのその不調、本当の原因は脳疲労かもしれません。」
(中略)
「脳疲労は、情報(ストレス)過多の結果として起こる脳機能の低下状態を意味します。脳疲労の状態に陥るとまず現れるのが五感異常です。見る(視覚)、聴く(聴覚)、匂う(嗅覚)、味わう(味覚)、触れる(触覚)の5つの感覚が鈍くなります。」(雑誌「PRESIDENT」より)

「医学的にいえば、脳の中の「大脳新皮質という司令塔と大脳辺縁系という大脳旧皮質の司令塔の関係性の破綻」と言うことになります。」(脳疲労概念【BOOCS公式サイト】より)

つまり、思考や学習などの精神活動を司る大脳新皮質、食欲や性欲などの本能や情動を担う大脳辺縁系、自律神経中枢や食欲中枢を司る間脳のバランスが崩れてしまっている状態を指すとのこと。藤野先生は、これを脳内ファミリーの家庭内不和状態に例えています。

ご自身の状態を知るには、脳疲労概念【BOOCS公式サイト】にある「脳疲労度チェック」をしてみるとよいかもしれません。質問は11個ですので簡単です。

ではどのように脳疲労を解消したらよいのでしょう? 藤野先生が提唱しているのは「BOOCS(ブックス法)」という方法論です。BOOCSとは、Brain-Oriented Oneself-Care System=脳疲労自己解消法のこと。二つの原理と三つの原則で成り立つとてもシンプルなもの。いろんな誘惑に弱いひとにはちょっとほっとするような方法論です。

BOOCS2原理
・禁止を禁止、の原理:自分で自分を禁止、抑制することをできるだけしない
・快の原理:自分にとって心地よいことを一つでもよいから始める

BOOCS3原則
・第1原則:たとえ健康に良いことでも嫌であれば決してしない
・第2原則:たとえ健康に悪いことでも好きでたまらないか、止められないことはとりあえずそのまま続ける(決して禁止しない)
・第3原則:健康によくてしかも自分がとても好きなことを一つでもよいから始める

ふと、自分の食習慣のことを思い返してみました。「炭水化物は太るから夜食べない!」など、禁止を課すほどに、食べたくなってしまうことや、毎日飲酒はよくなんだろうけど一日の終わりはビールで締めたい、ということなど。原則をみながら自身に欠けているのは、「健康によくてしかも自分がとても好きなことを一つでもよいから始める」だと思いました。コロナ渦で在宅時間が増えたころ、毎日のように受けていたオンラインヨガを最近はぱったり受けなくなってしまったなー。また再開しよう、と思いました。

みなさんはいかがでしょうか。自分にとって心地よいこと、自分がとても好きなことをやっていますか?
人工的なものに囲まれていたり、情報過多な状態のとき、自然に身を置いたり、触れることでも疲れを癒してくれるのではないでしょうか。
「脳疲労」を溜めすぎると回復に時間がかかりそうです。疲れてるな、と感じたときに、早めにご自身を労わってくださいね。

参考:

脳疲労ゼロ革命 (プレジデント2022年 7/29号) [雑誌]

脳疲労概念【BOOCS公式サイト】

文・七戸 綾子