お悩み:
30歳、無職の兄についてご相談です。 兄は2年前から無職です。以前は工場で働いていましたが、1年ほどで辞めてしまい、その前は大学を出て新卒採用されたSEの仕事をしていましたが、こちらも1年を経たずに辞めてしまいました。

大学を卒業→SE(約1年)→無職(約2年)→アルバイト(約半年)→無職(1年半)→工場(約1年)→無職(現在2年目)という流れです。 最近は家から出ないで部屋でインターネットやゲームをしています。

兄は学生の頃、成績が良く、物覚えも良いので、そんな兄がなぜ仕事が続かないのか、なぜ新しい仕事が見つからないのかがわかりません。就職に対して『まだ本気を出していない』感じが伝わってきて憂鬱な気持ちになります。

私は兄に働いてほしいのですが、いざ話しかけてみようとすると言い出せず、悩んでいます。

答えのヒント:
職に就くことと、無職の状態が繰り返されているところから、社会と断絶している・・・というのとは異なるのかなと思いました。ここでは学校を卒業すれば就職し、転職したとしても仕事を続けるという私達の一般的な価値観を当てはめることに慎重になるべきです。

あなたはお兄様が働いてくれれば、すべては解決すると安堵するかもしれません。つまりお兄様がある行動をとってくれれば、お兄様自身の問題は(ご本人にはその概念すらないかもしれません)解決し、ご家族も安心できる。ただ、私達は家族であっても、他者をコントロールすることはできません。

明らかに今の状況はお兄様のチョイスです。そこには本人にしかわからない何らかの見返りがある筈です。ご本人がそれに気付いているかどうかも分かりません。現在お兄様が最優先しているのは、積極的な社会参加や毎月の収入ではないようです。家族を安心させることも、今のところ優先順位の上位にはないようです。過去の職場で辛いことがあったのかもしれません。

これらは僕の憶測でしかありませんが「働かなくても特に困らない」状況がそこにあるのが、お兄様の仕事に対する選択を手伝っているのかもしれません。

またお兄様の為になることは・・・といくら考えても、それはご本人が決めることです。やきもきする気持ち、心配する気持ちはよく分かります。助けたいお気持ちもあるでしょう。こちら側が手を差し伸べようとしても、相手がその手を必要としてくれないのならそれ以上何ができるでしょうか。

専門家のケアが必要な深刻な問題レベルではなく、「本気を出していないだけ」なら期待をせずに待つしかないのでしょうか。

人は全ての行動を選びます。予期せぬことが起こったとしても、その対応の行動を選びます。そして私達は、本人が最終的に価値を見出しているものへ辿りつくことを助けることはできても、それを勝手に憶測し、そこへの行き方を押し付けるわけにはいきません。

あなたが「話しかけようとしても言い出せない」というのは、自分の価値観を押し付けられないことを分かっていらっしゃるからでしょう。今は言葉に効力はないかもしれませんね。

ここからは心理学者でも精神科医でもない僕の見解です。

ご家族の皆さんでお兄様の存在を充分に受け入れましょう。
口を閉じて心の耳を開きましょう。(アドヴァイスより、繊細でありましょう)
お兄様が話したい時、助けを必要とする時にこそ時間とエネルギーを惜しみなく与えましょう。

私達は受容されたときに、自分自身の本質に気付き易いかもしれません。
本質に気付いたときに、本人が最上とする行動をとることでしょう。

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文 ヨガインストラクター ヤスシ/編集 七戸 綾子