マタニティヨガは、妊活にも効果がある?
著者のヨガインストラクター カオ先生にお話しを聞いてみました。
ヨガのアーサナ(ポーズ)で基礎体力をつけ、全身の血液循環を促します。またマタニティヨガでは特に、骨盤周辺を流れる血液量を増やし、ホルモン分泌を活性化し、さらに心と体がリラックスできるようアプローチします。
具体的には妊娠力を上げる以下の効果が期待できます。
● 基礎体力の向上、筋温を上げ、冷えを緩和する
● 全身運動なので体のバランスを整える
● 骨盤周辺の柔軟性と筋力をつけ、血行を良くし、子宮や卵巣の働きを活性化する
● 呼吸法や瞑想によりリラックスを促し、自律神経、ホルモン分泌の働きを調整する
● ホルモンバランスが整うことで、月経周期を安定させる
ちなみに「筋温」とは、筋肉の温度のことです。運動時は筋肉の血流量を増大させるので、筋肉の温度である“筋温”が上昇します。その結果、冷えの改善につながります。体温が「皮膚温度」とすると、筋温は、体の「深部体温」というようなイメージです。
ホルモンのバランスに左右される女性の心と体は揺らぎやすくデリケートです。不妊の原因にはいろいろな要素があり、一概に何が原因といえないところにその難しさがありますが、その中には、冷え性による子宮や卵巣の血行障害や、自律神経の不調によるホルモン分泌の問題などがあります。
マタニティヨガで期待される効果のひとつが、骨盤まわりのめぐりをよくして、子宮動脈拍同指数(子宮を流れる血液の量)を増やすこと。
また過度のストレスは子宮内の血管を収縮させたり、GnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)の分泌を妨げることがあるとも言われます。妊活中の女性はストレスホルモンの数値が高くなりがちなため、呼吸と共に緩やかに体を動かし、自律神経を整えるストレスマネージメントとしてもヨガは最適でしょう。
もちろん、妊活中の女性にとって肉体的な負担はもちろん、治療による精神的負担なども見過ごせません。ヨガのアプローチは上記の効果に書いたように、心身共にアプローチするホリスティックなものですので、妊娠力を高めるためにも効果的です。
アメリカのハーバード大学で行われた研究では、ヨガや瞑想、リラクゼーションを練習した女性のグループは、そうでないグループに比べて妊娠する確率が3倍に上昇したことを報告しています。
赤ちゃんをむかえる居心地の良い子宮をイメージして、ゆったりとした気持ちでマタニティヨガの時間を作ってみてください。プレマタニティの方々のために、マタニティヨガがお役に立てたら幸いです。
妊娠力を高める3つのポイント別 おすすめのヨガポーズ
次の3つのポーズがおすすめです。
三角のポーズ
息を吐きながら上半身を右に傾け、右手を足首かすねにそえる。
息を吸いながら左手を上に上げる。
立位の開脚前屈
息を吐きながら股関節から前屈し、指先を床に立てる。
息を吸いながら背中を伸ばす。
片足開脚で胸を開く&前屈
体を左足に向け、息を吸いながら胸を開く。
息を吐きながら背筋を伸ばしたまま前屈する。
<股関節周辺のエクササイズのおすすめポイント>
体全体の筋力、柔軟性を上げ、バランス、体力を高めます。
全身の血行促進を促すことで体を温める効果があります。
ポイント2.骨盤底筋群エクササイズ
次の3つのポーズがおすすめです。
骨盤底筋群のエクササイズ
両肘をついて、骨盤底筋を意識する。
息を吸いながら骨盤底筋周辺の筋肉を引き締め、吐くときにゆるめる。
立位のスクワット
胸の前で合掌する。
息を吐きながら腰を落とし、吸いながら元に戻る。
マラーサナ
しゃがんで胸の前で合掌する。
両肘でひざを押し、背筋を伸ばす。
<骨盤底筋群エクササイズのおすすめポイント>
骨盤底筋群や内転筋郡などの骨盤周りの筋肉に働きかけるポーズで、股関節周辺の柔軟性と筋力を養い、血流を良くして代謝を高めます。
また、骨盤底筋を鍛えておけば妊娠中に大きくなる子宮もしっかりと支えることにも繋がります。
ポイント3.自律神経のバランスを整え、リラックスを促す
次の5つのポーズや呼吸法がおすすめです。
口から吐く呼吸法
鼻から息を吸い、口からため息のように「ハー」と吐く。
片鼻呼吸法
右の親指で右の小鼻を押さえ、左の鼻から息を吸う。
薬指と小指で左の小鼻を押さえ、親指を話し、右の鼻から息を吐き、そのまま息を吸う。
右の親指で右の小鼻を押さえ、左の鼻から息を吐き、
これを繰り返す。
合せきのポーズ
足首を持ち、背筋を伸ばす。
仰向けの合せきのポーズ
仙骨をボルスターに当てて座る。
ボルスターの上にまず横向きになってから、あお向けになり、両足の裏を合わせ、ひざを開く。
瞑想
ゆったりと呼吸する。
<自律神経のバランスを整え、リラックスを促すポーズのおすすめポイント>
呼吸を整え、心を穏やかに静めます。
副交感システムのスイッチを入れるのに役立ちます。またバッダ・コーナ・アーサナ(合せきのポーズ)は骨盤の周辺への血流を盛んにして、生理痛を和らげるとも考えられています。
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4月開催 女性のためのワークショップ
お話し ヨガインストラクター カオ/イラスト 渡辺 美央/編集 七戸 綾子