私が長女を妊娠していた頃、3D超音波というエコー写真技術が登場した頃でした。
それまでの妊婦健診で、2Dの白黒で見ていた赤ちゃんの様子が立体的な画像で見れて本当に驚いたものでした。今では4Dという動画でお腹の赤ちゃんの様子が見れるようになって、月に一度の健診を楽しみになさっている方も多いと思います。

嬉しいですよね、自分の体の中で赤ちゃんがどんどん育っていく様子。長女の頃は、妊娠34週のころに一度だけ、3Dエコー写真を撮ってもらったことがありました。少し横向きの目を閉じた赤ちゃんの顔が見えたとき、鼻ぺちゃでへの字口をしているまだ見ぬ赤ちゃんに、「あぁ~鼻は私に似てしまった~ごめんねぇ!!」なんて思ったことを思い出します。鼻筋だけでも主人に似てほしかったと思っていたので、女の子なのに可愛く生んであげられないかもしれないな~なんて、生まれる前から残念に思ってしまった正直な私です。

1ヶ月後、生まれてきた赤ん坊がすやすや眠る横顔を見ながら、
「わぁ~本物だ~!!」なんて感動しながらも、「鼻高くな~れ!鼻高くな~れ!」なんて鼻を指で摘んでマッサージしておりました。

それからしばらく、なかなかタイミングが来なくて5年かかって次女を妊娠しました。長女も年長さんになっていましたし、せっかくなので家族全員でお産を迎えられたらと思い、近所の助産院さんで出産させてもらうことにしました。

助産院は産婦人科医院と違って医療機関ではないので、提携する産院と助産院とで交互に健診を受けることになりました。病院ではないので助産院にはエコー写真などはありません。健診に行くと、体重を測り、腹囲を測り、おへそから恥骨までの距離やおへそからみぞおちまでの距離などを測ったりします。

あと、触診がありました。助産師さんと共に、自分のお腹を注意深く触っていきます。下腹部・右鼠径部近くに赤ちゃんの頭らしき膨らみを感じられたり、私には全くわからないのですが、助産師さんは「ここがほら、背中。」と言いながら触らせてくれます。「あぁ、だからこの辺でよく蹴られるわね!」と言いながら私のお腹の中央辺りに手を当ててくださいます。確かにその辺りで胎動を感じることがよくありました。

なんともアナログで原始的な健診です。ただ一つだけ、デジタルな?ことをしてくださるんです。それは赤ちゃんの心拍を聞くこと。笑ってしまうほどおもちゃのようなマイクが出てきて、私のお腹の中の世界を聴いていきます。

「頭ここで背中ここだから、心臓がこっち側にあるから聞きやすいかもしれないね❤」と言いながらマイクをお腹に当てていくと、まずはシュワンシュワンシュワンシュワンシュワンとなんだか響くような音が聞こえてきます。これは私の子宮内の羊水に響いている私の血圧の音なんだそう。その奥にもっともっと耳を済ましていくと、聞こえるか聞こえないかくらいの小さな音で、
「カタカタカタカタ・・・」と聞こえてくるのです。

全身全霊でその音を聴きにいくんです。聞こえたとき、暗い暗いお腹の中でしっかり生きている我が子が見える気がするんです。なんて一生懸命生きているんだろう・・・って。必死に私にしがみついて、「生まれるぞ~~!!!」って脈動している我が子が見えてくる。

「生きてる」っていう事実以外、何も必要じゃないように思えてくるんです。長女の時の3Dで私は乏しくも生まれる前から鼻ぺちゃを嘆いていしまいましたが(笑)、目には見えないけど確かに聞こえる「命の音」を心澄まして聞いたとき、この子が生まれようとしているってことをちゃんと叶えてあげなくちゃって、素直に感じました。とてつもなく大きな自信と誇りが、私の中に芽生えていました。

私は毎回、マタニティクラスを始める前に、お一人お一人に必ずお尋ねします。
「今日のあなたは元気ですか?赤ちゃんも元気?」

今日、あなたの命が生きていることを、その中で震えながら生まれ出る日を探している命を心澄まして感じてほしいから。命の振動は、確かに今ここで震えているでしょう?

目を開けば、選ばずとも多大な情報が目に飛び込んできます。私たちの心はそんな情報処理にシッチャカメッチャカしています。目を閉じで、五感を澄まして自分自身を聴いていますか? 命が今、あなたの中から生まれようとして育っている。そのパワフルな意志を聞いたとき、どんな力が湧くでしょう。

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文 ヨガインストラクター ミヅホ/編集 七戸 綾子