陰ヨガにはどんな特徴があるのでしょう? 陰ということは陽もある?など、5つのポイントでご紹介します。

陰ヨガの特徴1:ポーズにゆっくり時間をかける

「陰ヨガ」は、ひとつのポーズを長く保ち、ターゲットエリアの筋肉の力を抜いて、意識をより深くにある結合組織や骨にまで向けることで、深いリラックス効果と集中をもたらすヨガです。時間を掛けて深部まで刺激することで、東洋医学でいわれる体内の気の通り道である経絡を刺激し、全身の気の流れを整える効果があります。

陰ヨガのポーズは、身体の表層にある組織の力を抜くことで体の深部を刺激することができるため、他のヨガのポーズよりもじっくりとリラックスして長時間ポーズを保つというのが特徴的です。

陰ヨガの特徴2:居心地の良さに留まるのがコツ

長時間ポーズを保つ意味は、深部組織(骨、結合組織)に働きかけ刺激するには、表層部(皮膚や筋肉等)の力を抜く必要があり、それにはある程度の時間が要するためです。そこで、注意していただきたいのは、少しでも痛みや居心地の悪い状態で長時間力を抜いてポーズを取ってしまうと怪我に繋がりかねないので、あくまでも居心地の良い状態で留まるということを基本にしてください。

無理をしてポーズを取ってしまうことで身体へのダメージを引き起こしてしまいます。無理をしないで「ありのままを受け入れる」というヨガへ向き合う姿勢を大切に、人はそれぞれ骨格や身体の組織に個性があることを踏まえ、自身の現状を把握し、コントロールしていくという意味でも有意義な練習、時間になることでしょう。


陰ヨガの特徴3:ポーズとポーズの間に余韻を感じる時間を持つ


自身の内面とじっくり向き合い、心身を結び付け解放させ静かな時間と共に、アーサナごとに深い瞑想へと導いていきます。そのため、ポーズとポーズの間には、リバウンド、といって、その直前にとったポーズの効果や刺激した部分からどの様に全身に伝わっているかを感じとるための時間、つまり余韻を味わう時間をとります。

陰ヨガの特徴4:陰と陽のバランスを整える


陰ヨガは、中国古代思想である「陰陽説」を元に考えられました。


この宇宙の万物全ては、陰と陽の側面(要素)があり、それらがバランスをとり合って成り立っているという思想です。

例えば、太陽と月を陰陽で捉えると、太陽が「陽」であり月が「陰」となり、男女で捉えたら男性が「陽」で女性が「陰」、身体の組織でみると皮膚や筋肉などの変化する組織を「陽」、その奥にある結合組織、骨の様な不変的な組織は「陰」となり、陰陽どちらも必要であり、それらがバランスを取り合って成り立っていると考えます。この思想からヨガの練習に於いても筋肉をしっかり使ってエネルギーを変化、上昇させいくヨガを「陽」のヨガ、それとは逆に落ち着いてじっくりと自身を全て受け入れる姿勢で向き合うヨガを「陰」のヨガと考えます。

そこで、陰ヨガのポーズを行う時は、その時の自身の状態を受け入れ、静かに身をゆだねていくことでより効果的に心身を沈め、深いリラックス効果が得られます。


そして、受け入れるというのは、自身の骨格や身体の感覚を読み取るということでもあり、痛みや違和感なくいかに居心地の良い場所を見つけて、そこにとどまることが出来るかが、とても大事なポイントとなります。



陰ヨガの特徴5:季節とともに臓器の調子を整える


東洋医学では「陰陽説」から更に掘り下げていくと、「陰陽五行説」という考え方もあり、それは、陰陽で宇宙の万物を2つの側面を持つという見方を更に5つの要素に分類されるとされ、互いに影響し合いバランスを取り成り立つという考え方もあります。


例えば、季節を五行で考えると五季といい、春、夏、長夏(残暑)、秋、冬となり、人体の内臓器官を五臓に分けると肝、心、脾、肺、腎となり、臓の働きを助ける役割、密接に関連しバランスを取り合っている五腑は、胆、小腸、胃、大腸、膀胱となります。


そこで、陰ヨガポーズで深部に働きかけることで、この臓腑への刺激も期待出来るとされ、全身の気の流れをも整え、内臓機能改善の効果も期待できるのです。


季節に合わせた陰ヨガのプログラムがありますので、ぜひ1年を通じて体験いただくのをおすすめします。

ゆったりとポーズに身をゆだね、ありのままを受け入れ、ご自身の体と対話するヨガ、陰ヨガの特徴についてお届けしました。

文 ヨガインストラクター ユカリ/編集 七戸 綾子