「旅をするきっかけになったモノ」「旅のはじまりに欠かせないモノ」それを見るだけで、ワクワクしたり想像や行動を掻き立てられるような。人生を旅になぞらえたなら、はじめの一歩を導いた“モノ”があるのではないでしょうか?そこで、クリエイターの皆さんにそれぞれの旅のはじまりを紹介してもらいました。

「御朱印帳」古金谷あゆみさん ライター

「小学生の頃、漢字ドリルのお手本の字を“こわい”と思っていました。凛として濁りがなく、背筋が伸びる感じ。神社やお寺も「おまえはちゃんと生きているのか」と問いただされているようで少し“こわ”かった。でも、どうやら私はそれが好きらしく、大人になった今、御朱印という漢字×寺社のぞくぞく感を集める旅をしています。たぶん、私の“こわい”は“美しい”です」
蛇腹式100ページ 華紋唐草

「地球儀」増本幸恵さん エディター・ライター

デスクの上に置ける小さな地球儀は、眺めているだけで、いつでも旅を思い描けるのがいいところ。電源を入れれば中のライトがついて、青く美しく光る。
「グーグル・アースも便利だけれど、地球儀を眺めながら、はるか遠い国の光や音やにおいを想像します。海岸線が複雑に入り込んだ地形や森の豊かさ、隣国との接し方などがわかり、その国の文化をもっと知りたくなるのです」

「ゴアテックス」細川剛さん 写真家

「いつも森の中を旅していますが、特に雨の日が好きなんです。でも雨の夜なんかは不安にもなる。人間の皮膚はとても弱く、自然には到底太刀打ちできないですから。でも、ゴアテックス®という第二の皮膚があるだけで、雨の中でも自由になれるんです。大地に座って尻を地面につけると、自然のバイブスが伝わってくる。森からのメッセージを受け取れるのです」
mont・bell のゴアテックス製レインパンツ

「信州てくてく おいしいもの探訪」 小口梨乃さん エディター・ライター

「長野県松本市に住むスタイリスト伊藤まさこさんが、長野県の“おいしいもの”を紹介している本です。私の実家も松本からほど近い場所にあるのですが、帰省したとき、実際に本に紹介されていたチーズやシードルを買いに行きました。どれも味わい豊かで、地元の父母も目を丸くするほど(笑)。身のまわりにある豊かさに気づかされました」

撮影 野頭尚子 / 編集 横山直美