母から送られてくる荷物には、慣れ親しんだ食材などが入っている。でも、わざわざ入れなくてもこのへんで売ってる!と突っ込みたくなるようなモノまで必ず入っている。子を思う母の、ときに不可解な思いやりのエピソードをご紹介します。

困惑…季節外れの商品

母親から送られてくるものには、1つ1つに小さなメモが貼られている。
「これはチンするだけでOK」「これは鍋でも何でも放りこめば美味しいよ」等。時々誤字脱字もあってそれもまた面白いのだが、そのメモ1つ1つが丁寧で本当に愛情を感じてしまう。

しかし、冬に送られてきた冷やし中華のタレだけは、本当にどうしたものかと困った。季節外れの商品で超絶安く買ったらしく、アレンジ力のない自分にはハードルの高いアイテム。
2種類あり、大手メーカーのものは75円。無名(失礼・・・)メーカーのものは54円だったと興奮して電話で話していた。今部屋の片隅にたたずんでいる54円3本と目が合いました。

――33歳・独身男性 浜松在住(実家は青森)の場合

“好き”と言ったらおしまい

一度、送ってもらった『ピーナッツバター』。帰省時に「あれ、おいしいよねー。ついついトーストにいっぱい塗っちゃう」と母に言ったら、毎回毎回、送られるようになり、帰省時にも必ず持ち帰らされた。私のピーナッツバターブームは、もうずいぶん前に過ぎ去ったのに。何気ない会話で言ったつもりの「おいしいよねー」だったけど、母にとっては、きっと娘の反応がすごくうれしかったんだなぁ、と今更ながらに思います。

今は私の娘(母にとっては孫)が、ピーナッツアレルギーになってしまい、もう送ってこないけれど、ピーナッツバターを見るたびに、母を思い出し、「元気にしてるかなぁ」なんて思います。

――ロハスインターナショナル PR部 たけまりの場合

父の好物が?!

ウチのオカンの宅配便武勇伝は数知れない。あるとき、あまりにも臭い荷物が届き、恐る恐る開けたら、スーパーのビニール袋に入ったアサリが入っていた!周りじゅうその汁でしっとしと。強烈な臭いを放っていた。もちろんアサリは腐ってた。「何コレ?」と苦情の電話をしたら、「しもた! 昨日の朝、味噌汁入れよ思て探したけど、ないなあ、オカシイなあ、言うとったらそこに入っとったん?」と。
鍋と段ボールの区別がつかんのかい。父は、好物のアサリのない味噌汁を飲まされ、その朝、母と大喧嘩になったらしい。

肝心の送ってくれた荷物は、衣類や、猫の好物のじゃこちくわでした。

――ライター・編集者 やましょうの場合

お母さんの宅配便 Vol.1は、こちら

切り絵 辻 恵子/企画・構成 Art of living magazine編集部