冬の気配と共に始まった柑橘リレーも、最盛期を迎えつつあるこの季節。わたしが小さい頃は、温州みかんの他に挙げるなら、はっさくといよかん、甘夏くらいのものだった。もちろんその個性は明確だった。最近では女の子の名前みたいな柑橘類が多くて、特徴と名前を覚えるのが難しい。もはやポンカン、デコポンあたりで止まってしまっている。

りんごと同じく、方々から集まって来た数種類の柑橘類が家にあったりするのもこの時期。先日も、「親戚の庭で採れた夏みかん」というのを頂いたばかりだ。生食するには強すぎる酸味と苦味を持つ夏みかんは、マーマレードにするには最適な柑橘のだ。しかし、採らずに放置している家も多く、わたしはいつも物欲しそうに眺めている。

今回は、夏みかんとはっさく、甘夏、河内晩柑を合わせてマーマレードにするが、もちろん1種類でもかまわない。皮の裏がざらざらしていない(白くふわっとしている)柑橘の方が向いている。ずっと木に成っていたものなので、皮をメラミンスポンジ等で良く洗う。縦に四つ割りに切って、皮をむく。皮の方は更に2つに切って、余分な白い部分を取り除く(白い部分も多少は残っている状態)。できるだけ薄く切り、ひたひたの水に入れて火にかけ、沸騰してから2〜3分でゆでこぼす。これを2〜3回くり返し、苦味とアクと抜く。ザルに上げておく。

身は薄皮をむいてからさらし布に入れ、果汁を搾る。種は別に取っておき、お茶パックかガーゼに入れておく。先ほどの皮と果汁を合わせ、重量を量り、重量の半分の砂糖と(ビートグラニュー糖、甜菜糖など、種類はお好みで)種の入ったパックを入れ煮立てる。アクが出て来たら取り除き、火を止め蓋をし1晩置く。翌朝2度目の火入れ。同じように煮立ったら火を止め蓋をし半日置く。夜、最後の火入れ。強火で攻めて行くが、焦げ付かないように。さらさらだった液体部分がとろんとしてきたら出来上がり。10分から15分くらいが目安。煮詰まった感じになるよりは、ゆるいかな?と思っても、多少早目に火から下ろした方が良い。煮沸消毒した保存瓶に入れて保存する。

仕上げにラム酒やコアントローをほんの少し加えると、グッと華やかで大人っぽい味わいになる。

写真&文 中村 宏子