夏の終わりに新しいれんこんが出始めてからひと月余り、だいぶ値段もこなれてきた。さすがに緑みのあるれんこんにはもう出会わないが、まだまだ「新もの」の部類で、透明感があり瑞々しい。厚めに切ってじっくり煮たり焼いたりするよりも、サッと茹でてからサラダや酢の物にしたり、軽く炒めたりする程度が似合っている。

皮をむいて薄切りにしたれんこんを沸騰した湯の中に入れて、透明になったらすぐザルに上げる。これを、以前ご紹介した甘酢(vol.22「甘酢があれば」の項参照)に漬けたり、梅酢と米酢を半々に砂糖を少々足してピンクの甘酢漬けにしたりする。もちろん、塩と酢と油の組み合わせでマリネにすればいくらでも展開していく。この季節なら、酢の代わりにすだちやかぼすの柑橘にしても、「いつもと違う味」になっていい。

この季節の出会いものということでわたしが気に入っているのは、枝豆との組み合わせ。もちろんそのまま合わせてもいいのだが、柔らかめに茹でた枝豆とオリーブオイル、塩をフードプロセッサー等でペースト状にし、軽く茹でたれんこんと和える。食感の違いと色の組み合わせがなんとも楽しい一品となる。
冬のれんこんについては、また違ったおいしさがあるのでいつかまた。

写真&文 中村 宏子