お弁当のこと
vol.50
そんな中、ほとんど弁当を作って来なかったわたしにも、まさかの弁当作りのお鉢が回ってきた。突然、夫が弁当を持って行くと言い出した。いつ終わるか知れない残業コースをやめて、給料は下がっても基本的には定時に帰れるコースを選んだのだった。節約する分わたしの仕事が増えたとしても、弁当持参は賢明な選択だと思った。夫の昼食については、何度口論になったかわからない。大抵はファストフードかラーメン、コンビニのおにぎりやサンドウィッチ、カップ麺、、、もうちょっとマシなものは無いのかとケンカの末に、「今日のお昼何食べた?」は禁句になった。
本当は毎日弁当写真を撮り貯めておいたら、さぞ面白かったことだろう。でも実際そんな暇はない。朝は忙しいのだ。気まぐれに撮った写真は10枚も無い。明日からも、いつもと変わりない、キャラ弁とは無縁の地味な弁当を作るだろう。
写真&文 中村 宏子