八百屋とスーパーマーケットで連続して野ぜりに出会ったので、旬なんだなぁと思う。本当は野山で気づかされたいところだが、中々そうもいかない。正月の七草でもお馴染みのせりだが、今の暦にはちょっと無理がある。寒さも緩む早春が、自然に任せた旬なのではないだろうか。

元々は同じだろうと思われるが、茎が長く伸びたいわゆる「せり」と「野ぜり」は見た目がちょっと違う。前者は栽培されているもので、休耕中の田んぼやハウス栽培されるのに対し、野ぜりはあぜ道や小川に自生しているもので、丈も短く自由に育った感じがする(計画的に栽培されているのもあるのだろうが)。

野ぜりの強い香りを楽しむなら、やはりおひたしかナムル。塩を入れた湯でサッと茹でるのだが、ずいぶん量が減ってしまう。が、こういう香りの強い物は少量で十分なのだと、思い直す。水をよく絞ってから、3cmほどに切っておひたしにするか、ごま油、しょうゆ、白ごまで和えてナムルにする。

お次ぎはチヂミ。ボウルに小麦粉75g、米粉25g、水150cc、塩小さじ1/2を入れてよく混ぜる。ここへ3cmほどに切った野ぜりを加える。お好みでチーズや小エビを入れてもいい。フライパンにごま油を入れて熱し、チヂミの生地を流し入れ、中弱火で両面焼く。たれは、しょうゆと酢を半々の割合に粉唐辛子(出来れば韓国産)と白ごまを少々。

野ぜりなら近くにたくさん生えている、、、という羨ましい方も、毒ぜりには気をつけて欲しい。見分け方は独特の香気がなく、たけのこのような地下茎があるそうだ。

写真&文 中村 宏子