わたしは結構な「酢好き」であると自負している。うちの台所の調味料の引き出しを占領しているたくさんの種類の酢たち。ふと思い立ち、酢の事を調べてみた。食酢には醸造酢と合成酢があり、普段なじみのある酢のほとんどが醸造酢だ。醸造酢の中でも穀物酢と果実酢に分かれ、穀物酢は米酢、(米)黒酢、(大麦)黒酢などがある。「穀物酢」という名称のものは、米の他に小麦、とうもろこし、酒粕等を用いて醸造されている。果実酢の主なものにはりんご酢、ぶどう酢(ワインビネガー)、ぶどう酢を長期熟成させたバルサミコ酢、柿酢などがある。中でも柿酢は昔ながらの自然な方法で作られる。熟した柿の実を瓶などに入れて自然発酵させるだけなのだ。

さて、うちにある酢と言えば、米酢、鹿児島の黒酢、中国の黒酢(鎮江香醋)、りんご酢、ワインビネガー(赤)、バルサミコ酢、シェリービネガー。梅干しを漬けた時の副産物の梅酢もあって、これはどのグループに入るのだろう? 塩がずいぶん入っているから果実酢に入れていいものか? と調べてみたら、酢酸が含まれない(梅の酸はクエン酸)ので醸造酢ではないようだ。

酢の健康効果も色々と実証されているようで、腸内の善玉菌を増やし便秘に効く、内臓脂肪を減らす、血圧を下げる、食欲増進、糖と一緒に摂取すると疲労回復に効くなど。料理においても、殺菌効果、減塩、魚の臭みを取る、ごぼうなどのアクを抜く、肉を柔らかくする効果などがある。酢を飲むと体が柔らかくなる、というのだけは迷信らしいが。

「酢好き」はちょいちょいと、入れなくていいようなところにも、よく酢を使っている。おひたしや炒め物、煮物。酢は長く加熱すると酸っぱさが飛んで旨味に変わる。以前TVで「複数の酢を使うと相乗効果でおいしくなる」と言っていたのをそこだけ覚えてしまい、信じて疑わない。何の料理だったかも忘れているけれど、確かにその通りだと思う。

酢を使った料理は数々あれど、今の季節にピッタリの柑橘のサラダを。好みの柑橘は薄皮をむき、オリーブ油、ワインビネガー(共に同量)、塩で和えて、刻んだイタリアンパセリを散らす。酢と柑橘の酸味の相乗効果で、おいしいサラダになる。

写真&文 中村 宏子