スーパーマーケットにトマトを買いに行ったら、種類が多すぎて迷ってしまった。以前は普通のトマトかミニトマトのどちらかだったのが、フルーツトマトが当たり前のように並ぶようになり、高リコピン、高糖度、塩トマト、逆に“昔ながらの”とか、やたらと小粒なの、枝付きと、さまざまな特徴でアピールしてくる。中には箱に入れられてすました、びっくりするような価格のものまである。値段に比例しておいしいか、と言えば必ずしもそうでは無く、ちょっと奮発したのにハズレだった事が何度もある。煮込み用ならまだしも、生食ならおいしいものが食べたいのに。

やっぱり季節が巡ってくると、トマトがおいしくなる。花粉症にはトマトと青じそがいいと聞いた事があるが、旬を考えればどちらも早かった。花粉症抜きにしても、トマト+青じそは間違いない組み合わせだが、トマトにゆかりとオリーブ油(足りなければ塩)もおいしい。実家では素麺の薬味に刻んだトマトときゅうりと青じそがあった。懐かしさから、今でも時々そうやって食べている。トマトの味噌汁ももはや定番化しているし、トマトのおひたしやトマトのおでんなんて聞いてもびっくりしない時代になった。いつの間にかトマトもその料理も進化している。

うたい文句につられ、時に失敗もするトマトだが、ミニトマトだったらその凝縮したうま味はなかなかのものだし、失敗も少ない。そんなミニトマトのスパゲッティ。塩をしっかり入れた湯でパスタを茹でている間に、フライパンに1人当たり大さじ1のオリーブ油と10〜12このミニトマトを入れ、弱火にかける。トマトの皮がはじけシワが寄ってきたら火を止める。茹で上がったパスタを加え、ざっと和えて皿に盛り、好みのチーズをかける。ミニトマトを潰しながら食べる。

写真&文 中村 宏子