腸内フローラってなに?
腸内フローラとは、腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)のことをいい、「叢」は本来“草むら”の意味です。これまで腸内細菌は、「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌(ひよりみきん)」と3つに分類されてきました。善玉菌は体によい働きをし、多ければ多いほど健康、悪玉菌は、体によくない、優勢な菌になびくのが、日和見菌というように言われてきました。ところが、 “フローラ”=お花畑のように、細菌の“多様性”とバランスが、腸内の健康を決める、ということが最近の研究でわかってきたのです。悪玉菌でもよい働きをするものがあったり、日和見菌が少ないと健康的ではなかったり、善玉菌があってもそこに栄養がいかないときちんと働かない、ということなんです。
※宿主は、人間のこと
体の中にある腸内細菌は、どのくらいの数があるかというと、なんと約1000種類、100兆個(!)だそうです。そもそもヒトの体を構成する細胞は、37兆個あると言われています。単位がすごすぎてよくわかりませんよね。とにかく、名前も知らないようなたくさんの種類の細菌が腸内で働いている、ということなんですね。
様々な研究がいままさに現在進行形でおこなわれている腸内フローラ。一過性の流行にとどまらず、人の健康を全身でとらえる“科学”なのです。
文 七戸 綾子