ちょっと欲ばって、ヨガとピラティスとビューティ・ペルヴィス、3人の先生に質問! 3つの答えは、同じようで違うし、違うようで同じ。あなたの「?」を「!」に変えます。

Question
クラスによって、鏡を見たり見なかったりするのはなぜですか?

BEAUTY PELVISプログラムディレクター/b-i STYLE代表 kyo先生

kyo先生の鏡の使い方
仕事柄、研究のために自宅ではあらゆる場所に鏡を置いています。お風呂や食事のときの姿勢、他人のまね、気が抜けているときの表情など(笑)、日常の自分の姿を客観的にみて発見したことをクラスに活かしています。

ビューティ・ペルヴィスのクラスで鏡を“見ない”理由
以前、ペルヴィス・フローのクラスをしていたときのこと。みなさんがとても楽しそうに踊っていたので「この美しい姿を見せてあげたい!」と思い、鏡にかかっていたカーテンをさっと開けました。その瞬間、誰もが鏡に映った自分の姿を注視。自身に厳しくなり、楽しめなくなってしまったのです。それ以来、ペルヴィスのクラスでは鏡をあまり使いません。

このように、目から入ってくる情報はわかりやすいため、正確な動きや姿勢を確認したいとき、自己調整には有効だといえるでしょう。ただし、視覚に頼りがちになります。一方、鏡を見ない状態で体を動かすと、聴覚や触覚などほかの感覚にも頼ることとなり発達してきます。それは、本来備わっている機能を偏りなく刺激すること。

うす味で味覚を育てるように、目を休めて五感を養い、みなさんの本来もっている能力を引き出しましょう。

PILATESプログラムディレクター マミ先生

マミ先生の鏡の使い方
クラスが始まる前に、鏡でまず自分の姿勢をチェックするようにしています。疲れているなと思ったときも、姿勢をととのえることでリセットできます。あとは、クラス全体の様子を鏡で確認することもありますよ。

ピラティスのクラスで鏡を“見る”理由
仰向けやうつぶせの姿勢など鏡を見ないほうがいい場合もありますが、スタジオによって鏡が使える環境なら使います。自分の目で自分の姿勢をセルフチェックするためですね。たとえば、正面からは肩の高さやつま先の向きの左右差を、横からは頭からおしりまで背骨がニュートラルポジションになっているかどうかなどをチェックします。

ピラティスとは違って鏡を見ないで集中するというアプローチもありますが、ピラティスの場合は静止した姿勢で気持ちをコントロールするというよりは、まず「動き」があるというのが大きな特徴です。四肢が動いているときも体幹が安定しているかどうかなどが重要で、それを実際に鏡で見て確認できることが集中につながっています。

鏡を見ても見なくても、「ああ、姿勢が悪いなあ」と思うだけで終わってしまっては意味がありませんよね。鏡を見るのが目的ではなく、自分の姿勢に気づくこと、そしてそれを変えていこうとすることを忘れずに。

YOGAエグゼクティブディレクター ヤスシ先生

ヤスシ先生の鏡の使い方
鏡があるスタジオで自己練習するときは、正確なアラインメント(骨格の理想的な位置)を探るようにしています。頭で描いていた理想と鏡に映った現実との間にギャップがあって、苦笑いすることもあります(笑)。

ヨガのクラスで鏡を“見ない”理由
一般的に、内面への意識を高めるためには鏡を使わずに練習するほうがよいなどと聞きます。ずいぶん前に、僕も鏡があるスタジオでクラスを受けたことがありますが、鏡に映る自分を見て髪の毛やウェアをしょっちゅう整えたり、鏡ごしに他人のポーズが気になったり……という人もちらほら見かけました。

視覚が私たちにもたらす情報量は、思っている以上です。そしてその必要以上の情報が、私たちの気を「そらす」のです。瞑想するときになぜ目を閉じるかを考えると答えは明白でしょう。聴覚を始めとする他の感覚器官による情報も同様です。とはいえ、アーサナを実際におこなっているときは、安全面からも目は開けておくべきです。同時に、必要以上の情報が視界から入ってくるのを自分の集中力でさえぎる必要もあります。

アーサナでも瞑想でも、感覚ははたらいていながらそれに引き込まれないことが大切です。それをヨガの教えで「プラティヤハーラ」ともいいます。

文(ヨガ)ヤスシ/取材・文 古金谷 あゆみ/「スタジオ・ヨギーのある生活」vol.9より