姿勢がよくなる体の使い方とは? 1/2
「ロルフィング®」資格者でボディワーカーの藤本靖先生によると、姿勢は「構造」「機能」「空間」の3ステップがある、ということ。
「空間」=存在を認める というのは新鮮な視点です。
「機能」=体の使い方 を正すことで
「構造」=体の形 が整うというのはクラスでもよく聞きますね。
では、姿勢がよくなる体の使い方とは?
ピラティスで姿勢が変わったというインストラクター、リカ先生による姿勢をよくするお話しです。
「腹筋がないから姿勢が悪い」は本当?
よく言われます。ピラティスを始めてから確実に身長が伸びた感じがしますね。ピラティスで自分の体の使い方に気づいたことが、結果的に私の姿勢を変えたと思います。
たとえば、これはあまり公表したくないのですが、昔ダンスの先生に「あばらひら子ちゃん」と呼ばれていたことがあって(笑)。その頃は新体操をしていたので、反るときのあばらがパカッと開く癖が抜けず、「あばらひら子ちゃん、閉じなさい」とよく注意されていました。
当時はピラティスをまだ知らなかったので、私は肋骨の大きい人間なんだな、と骨格のせいにしたりして。でも、ピラティスで筋肉をつけて骨を正しいポジションに戻していくことで理想的な姿勢に近づき、そのあだ名も過去のものになりましたよ。
― ピラティスで姿勢がよくなったのはなぜですか?
ひとつは、バランスよく全身の筋肉を使うからですね。体をテントにたとえて考えてみるとわかりやすいのですが、テントの中心の柱から出ているひもが均等にピンと張られていると、テントはまっすぐ上に向かって立ちます。でも、片方がピンと張り過ぎていたり、もう一方はたるんでいたりすると曲がってしまいますよね。それと同じことが体にもあてはまり、柱は背骨、ひもはたとえば腹筋や背筋です。腹筋が強くても、背筋とのバランスが悪ければ体は曲がってしまいます。
ピラティス=腹筋運動という印象を持つ人がいるかもしれませんが、実際には背筋や脚など全身の筋肉を使ってバランスよく調整しているんですよ。
自分のやりたいことのためにピラティスを役立ててほしい
それは弱いからではなく、「腰は要」というように、お腹は体の中心としてすべての動きのベースになるからですね。たとえばボールを蹴るときの筋電図をとると、最初に反応する筋肉は脚ではなくてお腹の奥のほうです。ボールを蹴るために片脚を動かそうとする瞬間、すぐ重心がずれますから、お腹のインナーマッスルが瞬時にピピッと働いてバランスをとります。電車の揺れに耐えるときもそうですし、ピラティスのエクササイズでお腹以外を動かしているときもそう。お腹が筋肉痛になるのは、クラスの60分間を通じてすべての土台になっているからですね。
そうです。普通の筋トレとピラティスの違いはまさにそこにあります。
「シックスパック」と呼ばれるような割れている腹筋は、腹筋のなかでも外側にあるものです。
ピラティスでメインになるのは、その下の下にある腹横筋というインナーマッスルなので、お腹が見事に割れていてもロールアップがスムーズにできないということもあります。
インナーマッスルは目に見えないところで、縁の下の力持ちみたいに私たちの体を支えてくれているんですね。もちろんトライアスロンのために鍛えたいという人は、インナーマッスルの上に必要な筋肉をつけることでパフォーマンスの向上が期待できるでしょう。
そんなふうに体のベース作りとしてピラティスを役立ててほしいと思います。ピラティスが上手になるためではなく、自分のやりたいことのために。
「ピラティスで体の使い方を学ぶ」につづく
取材・文 古金谷 あゆみ/「スタジオ・ヨギーのある生活」vol.25より