女性に多い冷え性。気づかないうちに冷えから生まれていくさまざまな不調…。複数枚を重ね履きすることで、まるで半身浴をしているような体の状態にする、冷えとり靴下があります。しかもデザインがかわいくて、天然素材。靴下のブランド「メリ ヤ クー」のデザイナーのみなさんにお話しを聞いてみました。

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バイヤーの声から生まれた冷えとり靴下

私たちは洋服のみでスタートしたアパレルメーカーなので、展示会にバイヤーさんをお呼びして商品を紹介する、というブランド展開をしてきました。やがて、洋服とコーディネートしやすい雑貨も欲しいという声をバイヤーの方からいただくうちに、雑貨のブランドが増えていきました。私たちの会社、hapuna&Co.のなかには現在、洋服は3つ、バッグ、靴、靴下のブランドが存在します。

靴下のブランド「メリ ヤ クー」は、2009年からスタートしました。2014年より3人体制となっています。コレクションライン、冷えとりに加え2015年春展からハイゲージラインのen Lille(リーレ)、2016年春展からリラックスウェアのme.(ミードット)もスタートしています。

*写真左から、企画の山根 理恵さん、渡辺 梓さん、太田 円さん*

コレクションラインを始めてしばらくした後に、バイヤーさんから、冷えとりという靴下を履くことで健康を保つという健康法があるというお話を聞いたのがきっかけで、冷えとり靴下を始めることになりました。“冷えとり”と言うキーワードからいろいろと調べていくうちに、ファッションを扱う会社なので、服に合わせやすい冷えとり靴下を一からつくろうということになりました。足の小さな方にも履いていただきやすい、フィット感のある冷えとり靴下やレギンスなどを2011年夏の展示会からリリースしました。

本格的な冷えとりでは、何枚もゆるゆるの靴下を重ねるので、もこもことなって靴や服にフィットしない、ということもあり、メリヤクーの冷えとり靴下は、入門編として、手軽に始めやすいように、ほどよいフィット感を重視し、重ね履きの枚数が少ないセットなどもつくっています。

天然素材へのこだわり

履き心地やこういう風に見せたいという意図も含め、天然素材を選んでいます。できるだけ天然素材100%に近付けたいと思っているのはやはり「履き心地」を重視しているからです。履いた方の感覚や好みにもよりますが、冷えとりをしていない方でもやはり5本指のシルクは欠かせないという声を聞きます。1枚履いているだけで汗のじっとり感を感じにくく、快適に過ごせるからという理由からです。

寒い時期のウールもかなり温かいですが素材をパイル状に編むことで保温性を高めてくれるというように特性に合わせた編み方も心掛けています。細い番手の糸は、滑らかでするりとした履き心地になるし、太い番手でざっくりと編めば、ふわふわとした、履き心地になります。

綿は、一番身近な素材ではないでしょうか? お洗濯もしやすく、カジュアルにも綺麗にも合わせやすい親しみやすさもあります。

ウールは、実は年間通して履いていただける万能選手です。冬は暖かく、夏は涼しいといわれているウールは、保湿性と保温性が高く放湿性もあり、暑いときには汗を放湿し温度調節をします。

絹は、吸湿や吸汗性に優れさらりとした履き心地が特徴です。

物語をつむぐ、“言葉”を大切に

コレクションラインに毎回テーマがあり、「旅」を物語にしています。実際にする旅ではなく、その土地の風土や自然、伝統的なものなどを調べ、想像力を駆使して行く「脳内旅行」です。

デザイナー自身が自分のデザインした靴下のタイトルや物語を考えます。4~5行程度の限られた文字数の中で、お客様にその土地を感じていただけるテーマや言葉選びを心掛けています。

「白に浮かぶ輪郭」はポーランドの伝統的な柄のお皿をテーマにしていますが、タイトルと物語を一緒に合わせて読んだときに、あ、これはこういうお皿のことを言ってるのだな、と想像を膨らませながら、靴下も含め楽しんでいただくというような言葉でタイトルを決めています。

ポーランドを知っている方もそうでない方も楽しめるように、リアルな国の様子より物語めいた雰囲気を持たせたいなとも思っています。

また、ブランド名の「メリ ヤ クー」meri ja kuuがフィンランド語で「海と月」というところから、国名をフィンランド語で表現しています。puola⇒ポーランド という風に。スタート当初からのこだわりの部分です。

2011年から冷えとりのラインを始めた時のテーマが北アメリカの旅でした。以来、自給自足な暮らしをするアーミッシュの人々の生活を物語にしたようなストーリーが、冷えとりアイテムには現在も共通でつけられています。

たとえば、
「月と小さなワンピース」
井戸で汲んだ水を湧かし・・・洗濯板で洗った色々のワンピースが長いロープの下で揺れています。アーミッシュの洗濯の様にいろいろと並んだメリヤクーの冷えとりアイテム。
というように。

メリ ヤ クーの世界観を確立させるためにも、「言葉」はすごく大事にしています。お客様もきっとそこも含めてメリ ヤ クーのファンでいてくださるような気もしています。

冷えとり靴下は、卒業するときがくる?

難しい質問ですね・・・。わたしも知りたいです(笑)

靴下の重ね履きをしなくても良い状態になれるのが理想だと思いますが、日常生活を送っている以上、おそらくずっと終わりはないのではないかなと思います。あらゆる害のありそうなものやこと、食べ物を断ったとしても病気になったり、調子が悪くなることもあるのかなとも思っています。

冷えとりは体だけではなく心の冷えもととのえるといいます。日々の自分の体と心に向き合い、穏やかな状態でいるために「冷えとり」をずっと続けている方もいますし、ただ、人によってはもう必要ないかなと感じた時がある意味、卒業の時かもしれません。

個人的には足元が温かい状態は心地よく、もはや日常になっていてまったく苦ではないし健康法として頼ってしまっているので、やめることはないかなと思っています。ただ、代謝をアップしたり筋力を保つために運動も少しですがしています。

始めたいなという方には提唱者の進藤義晴さん、その娘さんの冷えとりアドバイザー進藤幸恵さんの著書を読まれることをおすすめします。

>>【後編】どんな風にデザインをかたちにしていっているか?に続く

>>メリヤクーの靴下、レギンスのショッピングページ
>>これが本当の「冷えとり」の手引書 ショッピングページ

お話し メリ ヤ クー 企画 渡辺 梓 / 編集・七戸 綾子