想いを持って、働くということ vol.42/2
Phuhiep(フーヒップ) 大野 真貴子さん
自分の生まれた意味を、感じていたい。
「自分の生まれた意味を、自分を、感じていたいんです。」
それは、大野さんが母のように慕っている女性から、20歳のころに言われた言葉でした。「人は生まれたからには、自分にしか果たせないことがある。それを果たせないで亡くなるのは悔しいこと。」そう言われた時、意味がよくわからなかった大野さん。その言葉をその後も考え続け、どんなことでもいいから、自分にしかできないことは何かを、いつも自分に問い続けるようになったそう。
「自分がやりたくないことやることや、やれないことをやろうとするのは、無責任にも思います。」
「このタイミングで一緒に仕事をできることに感謝しています。縁を感じていますね」と大野さん。
憧れとなって、次の世代の希望になった女性たち
後進の育成も彼らが行い、アクセサリーの売り上げの一部で行なっている、子どもたちを対象とした非営利教育事業HUE HAPPY PROJECTでも彼らがリーダーとなりつつある。そこに誇りをもって、フーヒップの仕事に取り組めていること。身近な憧れのお姉さんとして、コミュニティのロールモデルとなったアーティザンの様になりたいと、みずからアトリエに志願する子どもや若者が出てきたこと。大野さんは、これらがまさにコミュニティチェンジに繋がる大きな一歩と感じている。
フーヒップで働く女性たちは、努力して生活基盤を作った。その子たちに何をしたい?と聞くと、「フーヒップにはまだ貧しい子たちがいるので、“読み書き”を教えたい。」「手に職をつけてもらいたい」、と答えてくれるそう。自分たちの後輩に還元しようとしているのが一番うれしいことだと、大野さんは嬉しそうに話す。
「コミュニティ全体が貧困から抜けられる希望がみえてきました。30人から10人にしぼるような厳しい基準があってよかった。だからこそ、リーダーが育ったと思います。」
HUE HAPPY PROJECT開始時には、参加メンバーは30人程度いたそうだが、その後、Phuhiepの職業訓練を経て職人としての基準に達したのは10人にも満たなかった。少人数となったが、そのまま事業で雇うことになったという。それ以外の子たちは、別の仕事ができるよう非営利でのサポートを継続しているそうだ。
「異なる文化や経験・知識が背景にある私たち日本人が時間を5年かけて丁寧に育成してきたけれど、いまは、同じコミュニティ出身の先輩から伝えているので、もっと短い時間で次の世代を育成できると思います。地元の言葉で、コミュニティの事情を理解しながら伝えられることで、スピードが全然違う。成長のスピードがほんとうに変わっていけそうです。」
「人数が少なくとも技術と精神力、次の世代を育てる価値の方が重要ということを、いつも高橋さんやアトリエのスタッフと確認しあっています。」
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インタビュー前編「情熱を傾けられることを見つけた」
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写真提供:Phuhiep / photography by Jiro Nakajima/取材 七戸 綾子