安眠のための生活リズムづくり
睡眠改善インストラクター 鍛治 恵
睡眠欲求と体内時計
なぜ私たちは、眠たくなるのでしょうか?
そこには睡眠のメカニズム・・・2つのしくみが連動してはたらいています。一つ目のしくみは、日中活動した大脳や体の機能回復と様々な組織のメンテナンスのために、日中の活動量に見合った時間(=量)や質の睡眠を、脳が判断して眠りが発生しています。
例えば、旅に出ると自然と歩く量や活動量が増えますし、初めての土地ということで地図を見たり、間違えないように電車に乗ったりなど、脳はフル回転していますね。普段の生活でも、活動的でメリハリのある一日を送ることが安眠につながっているのです。食欲と似たイメージで、「睡眠欲求」がどれだけ高められているかでその夜の眠りが決まってきます。
もう一つのしくみは、私たちの体の中に存在する“体内時計”です。朝目覚めて夜眠たくなるのも、体内時計の「リズム」によるものなのです。体内時計は私たちの体に複数存在しますが、そのマスタークロックが、脳の中の視交叉上核という場所で目からの光を受けて約24時間周期のリズムを刻んでいるのです。でも、社会の時計は24時間。そのうえ、現代社会には体内時計を狂わせがちな環境や生活習慣がたくさんあります。ですから毎日のリセットがとても大事になってきます。
リセットのきっかけは、運動や規則正しい食事などいくつかありますが、中でも最も影響があるのは「朝の明るい光」です。朝日を浴びて体内時計はリセットされるのですが、目は閉じていても、体は光を感知して目覚める準備を始めます。カーテンを完全に閉め切るより、防犯上問題のない範囲で、朝日が少し入ってくる環境の方がスムーズに目覚められます。朝の起床時刻が整ってくると、起床後16時間くらい経つと眠りに入りやすくなるのです。
体温のリズムと自律神経
睡眠は体温のリズムと連動して、体温が下がらないと眠たくならないのです。一般的に、夕方以降、徐々に体温が下がり始め、さらに夜、入眠に際して深部体温をさらに下げるために、手足などから熱を外に出して、睡眠に入る準備を整えます。身体、特に手足の末端が冷えていると、深部体温が放熱しづらく、寝付きにくい状態になります。
体温のリズムとともに、自律神経のリズムも整えるようにしましょう。活動の際に活発になる交感神経は、休息そして睡眠に向けては徐々に鎮まり、代わって副交感神経が優位に切り替わるのが本来のリズムです。
睡眠は貯金できない
週末の寝坊は、リズムを狂わせてしまう結果になりますので、できるだけ、平日と休日の起床時刻の差を2時間以内にとどめるように心がけましょう。現状、差が大きい場合でも、一気に縮めようとせず、一週ごとに10〜15分程度ずつ時間をかけて調整するのが望ましいです。朝は眠くても一旦起きて、太陽の光を浴び、朝食をとって、体内時計をリセットすることが大切です。
どうしても眠い場合は、午後に昼寝をすることで調整するのがオススメですが、昼寝の時間は、平日なら15〜20分程度に、週末でも15時くらいまでの間に90分以内で起きるようにしましょう。それ以上に長い昼寝が必要な方は睡眠不足の可能性が大きいので、平日の睡眠時間も少しずつ確保していけるとよいですね。
安眠につながる生活リズムのポイントは、朝のスタートの仕方や日中しっかり活動することが大切です。目覚めたあとは、光をしっかり取り入れ、シャワーやヨガなどで体温上昇を促し、朝食もキチンととることで、体内時計をリセットし徐々にリズムを整えるようにしましょう。そして日中活動的に過ごし、よい「眠りの素」をつくりましょう。
安眠のための生活リズムづくりTIPS まとめ
〇 日中の活動量を上げて、睡眠欲求を高めよう
〇 朝日を浴びて、体内時計の狂いを毎日リセット
〇 お休み前にぬるめの温度の入浴、ヨガ、ウォーキングなどの軽い運動で一旦体温を上げておくと、その後リラックスし、スムーズな入眠に効果的
〇 平日と休日の起床時刻の差を2時間以内にとどめる
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睡眠改善インストラクター・NPO睡眠文化研究会事務局長 鍛治 恵