スタジオ・ヨギーでメンテナンスプログラムを担当している、理学療法士の濱良太です。


メンテナンスを受けていただく際に、姿勢についてよく相談を受けます。姿勢の悪さは見た目だけでなく、肩こりや、腰痛など体の不調に影響してきます。不良姿勢には「猫背姿勢」や「反り腰」などが挙げられます。


今回は反り腰が引き起こす体への負担と、反り腰改善のポイントを解説していきます。


背骨の形状

通常の背骨はS字状のカーブをしています。(図1)




背骨の首の部分の骨(頸椎)は、前にカーブを描いており、胸の部分(胸椎)は後ろにカーブ、腰の部分(腰椎)は前にカーブしています。このS字状のカーブには、重力が背骨にかかった際に、スプリングのように衝撃を吸収してくれる役割があります。


反り腰とは腰椎の前方へのカーブ、つまり”前弯(ぜんわん)”が強くなっている状態のことです。反り腰に伴い骨盤の前方への傾き(前傾)が強くなることも多くあります。(図2)




もし反り腰のように腰椎前弯が強くなってしまうとどうなるでしょうか? 腰椎に過度なストレスが加わり、腰椎への負担が増加してしまいます。


反り腰は他の関節にも影響を与えている

腰椎の反りが強いので腰椎を丸める練習をすれば反り腰は改善するでしょうか? もちろん腰椎に対する運動も必要です。しかし、腰椎に対するエクササイズやストレッチをするだけでは改善しないことが多くあります。背骨のバランスが崩れているということは骨盤や股関節のバランスも崩れている可能性があります。立っている時の骨盤・股関節の動きに関係する筋肉の働きを見てみましょう。


理想的な筋肉の緊張バランスは、体の前方にある腹筋群と股関節前方を走行する筋肉がバランスよく緊張を保っています。体の後方では、背筋群と股関節後方を走行する筋肉がバランスよくお互いの緊張を保ち、骨盤と股関節はバランスのとれた状態となっています。(図3)




ところが反り腰だと背筋群と股関節前面の筋肉が短くなり、逆に腹筋群とハムストリングスの筋肉は弛んだ状態となっています。(図4)




反り腰に対するエクササイズ

反り腰に対して背筋群や股関節の影響も考慮してエクササイズを行う必要があります。


エクササイズのポイントは2つ。

①骨盤を前傾させる作用のある背筋群、股関節前面の筋肉の柔軟性を向上させること。

②骨盤後傾させる作用のある腹筋群、ハムストリングスの機能を改善させること。

これらを意識してすることで反り腰に対して効率よくエクササイズが出来ます。


それでは骨盤を前傾させる作用のある筋肉の柔軟性改善のエクササイズをやってみましょう。


まずは股関節前面の筋肉の柔軟性の改善を目的に行うストレッチです。


踵をお尻に当てます。(膝が曲がりにくい方は無理しないで結構です)

手で引くのではなく、膝を後ろに引くように太ももの前面をストレッチします。

腰を反らないように注意してください。




次に背筋群の柔軟性の改善を目的に行うストレッチです。


正座の状態から手を床につけてリラックスします。

鼻から息を吸い、背中が広がるように息を吸っていきます。

背中が広がるようなイメージを持って行いましょう。




柔軟性が改善できたら、骨盤を後傾させるエクササイズを行います。

腹筋群とハムストリングスを同時に使うことで骨盤後傾を促します。


椅子に足を乗せ股関節・膝関節が90°になるように足を置きます。

つま先を立てて踵で椅子を押し付けます。

その際に尾骨が天井の方に向くように骨盤を後ろに傾けます。

尾骨を持ち上げたまま、口から息を吐きます。

腹筋とハムストリングスに力が入るのを確認してください。



反り腰に対しては、骨盤や股関節周囲の筋肉の関係を理解するとよりよい効果が得られるかと思います。


無理のない範囲でお試しいただけたら幸いです。

文・エクササイズ指導 理学療法士 濱 良太