読者の方々から届いたインストラクターへの質問のなかから、特に多かったものをご紹介。あなたの「?」を「!」に変えます。

Question
ヨガが、カラダはもちろん、心や精神の安定にもよいと聞きますが、どうしてでしょう? 運動すると、スカッとして気持ちがいいのはわかりますが、ヨガはもう一歩踏み込んだイメージがあります。

この質問を、関西ヨガインストラクターのサトミ先生に聞いてみました。

Answer

──まずは、ヨガだけでなくスポーツ・運動をすると、身体も心もスッキリなりますよね。その具体的な理由はなんでしょう?

筋肉が刺激されることにより血行が良くなり、全身が活性化します。血流がよくなると、身体の隅々まで栄養である酸素がいきわたり、老廃物は流れていくことになり、体にとっていいことですよね。身近な例でいうと、冷えも血行が悪さから起こり、その冷えによるコリが解消されれば、その痛みや不快から開放され、ストレスも減りますよね。

それに、運動することで、脳内では神経伝達物質であり幸福ホルモンといわれる“セロトニン”が分泌されるといわれています。考え込んでいたことや執着していたものも、体を動かすことで手離せるのでしょう。

加えて、スポーツで厳しい試合に勝ち抜いたり、ヨガなら今までできなかったポーズができるようになったりすると、人は達成感、満足感を覚えます。それがさらに快感、幸福感となり、ますます向上心を持つことに繋がります。それが心にもよいといわれるひとつのパターンだと思います。

──そのなかでも、特にヨガが心の安定にも効果があるのは、どうしてでしょう?

私たちは普段の生活の中で、様々なストレスを感じています。日常生活でも人と比べる場面が多く、スポーツでは常に他者と競い、自分自身の記録を越えようとすることで大きなストレスを生んでいます。

ヨガでは、他人と自分を比べることをしません。いかに早くポーズを習得するかではなく、いかに今の自分の身体の状態に気づき、それを受け入れるか。そうすることで心が平穏になり、その結果、自分を高めていくことに繋がります。

──どんなスタイルのヨガでもいいですか?

運動量が多く強度の高いヨガでも、リラックス系のヨガでも、深い呼吸を繰り返しながら、前半は交感神経を優位にする(=筋肉を緊張させる)立ちのアーサナを行い、後半は副交感神経を優位にする(=リラックスさせる)座ったアーサナを行います。これは緊張→弛緩という休息に効率的な順を追っているので、最後に行うシャヴァアーサナ(瞑想)の効果が高まり、より心の安定に繋がるということになります。

──心を安定させたいなら、瞑想だけでもいいですか?

もちろん、瞑想だけでも効果があります。ただ、瞑想は背骨を伸ばした状態で座って行うのが一般的で、長く座り続けるためには関節の可動域が大きく、筋肉もしなやかな方が有利です。そういった身体作りのために、ハタヨガ(一般的に知られる身体を使ったヨガ)は生まれ、呼吸法と共に瞑想を深めるためのものでもあります。

なので、身体を動かすハタヨガで、呼吸と身体に集中することで集中力が高まり、筋肉や生命エネルギーが活性化されるので瞑想に入りやすい状態を作ることができます。

少しの時間で心の安定を目指すなら、軽く身体をストレッチしたり、呼吸法をおこなってから瞑想だけをするのもよいですね。

編集 竹内まり子