太平洋の奇跡、ハワイ
Hawaii vol.1
ハワイを訪れる日本人観光客は年間150万人を超えるそう。きっと読者の方の中にも、ハワイが大好きな人も多いことでしょう。身近な旅先であるハワイですが、まだまだ知らない魅力が隠されているのです。太平洋に浮かぶ小さな島々がこれほどまでに私たちを魅惑するのはなぜでしょうか? その理由を探っていきましょう。
ハワイがどこにあるかはご存知ですか? 日本のはるか南の海、正確に言えば北緯19度から20度の太平洋のほぼ真ん中に位置しています。世界地図があるのなら、ぜひ見て下さい。何か気づくことはありませんか? ハワイ諸島は、他の大陸や主な島々から、ぐんと離れているのです。お隣の島は、3000kmのはるかかなた。このような島は世界を見渡しても他にはありません。
ハワイアンが誇り高き海の民であることを証明するために、1976年、有志たちが、一艘の航海カヌー“ホクレア号”で旅立ちました。その目的地はるかかなたのタヒチ。現代の航海技術にたよらない古代の原始的な船で大海原に乗り出したのです。そのよりどころになったのが、星の位置を見て進むべき方向を決めるスターナビゲーション。ポリネシアの島々に古代より伝わる航海術です。
紆余曲折があったものの、ホクレア号は無事にタヒチにたどり着き、ハワイアンのルーツが大海原を超えてやってきた海の民であることを証明したのです。その昔、古代のハワイアンたちが、長くてつらい船旅を経て水平線に浮かぶこの緑豊かな島々を見つけた時の感動はどんなだったのでしょうか。今まで目にしたことのない色とりどりの花々や鳥、そして、美しい海と山々……。ハワイがこの地球上に誕生したのも、古代のハワイアンたちがこの島と出会えたのも、まさに偶然の産物です。ハワイが“奇跡の島”と呼ばれるのもうなづけます。今もなお、この島々が、私たちを惹き付けるのも、その奇跡が理由なのかもしれません。
文 美濃部 孝/写真 Hawaii Tourism Authority, Big Island Visitors Bureau, Tor Johnson, Kirk Lee Aeder, Ethan Tweedie