小豆を煮る幸福な時間
vol.26
静かな夜更け、部屋中に小豆の匂いを漂わせつつ、他の仕事をしている感じが望ましい。大人数の家族か、よほどのあんこ好きでない限り、1袋(たいてい300g)では多い。100gか150gずつ。煮豆は足が早いから、少なく作って早く食べきった方がいい。冷凍なんてしようと思わない方がいい。小豆を煮る事を楽しむなら、何度も煮たらいい。
柔らかくなってから砂糖を入れる。この時に水分が少なければ足す。入れる砂糖によってずいぶんと仕上がりの風味が違ってくるのも面白いところ。グラニュー糖ですっきり、きび砂糖はこくのある味、このところのお気に入りは甜菜含蜜糖で、上品な仕上がりに。砂糖の量も、うす甘党のわたしなら小豆の6割、しっかり甘くするなら10割くらいまでの間で好みで加減する。しばらく煮詰めて好みの固さに仕上げる。冷めると固まるので、ゆるいかな?くらいが丁度いい頃合い。
写真&文 中村 宏子