立春も過ぎたというのにまだまだ寒い。とは言え、野菜売り場にはもう、春を告げる野菜が並び始めている。菜の花、せり、うど、ふきのとう。そしてミニチュアのような芽キャベツとプチヴェール。プチヴェールはまだ馴染みが薄いかもしれないが、芽キャベツとケールを交配させて生まれたもの。ケールと言えば青汁のイメージだし、見た目からもさぞ強い味なのかと思いきや、茹でると甘さすら感じるのだ。

芽キャベツはシチューに入れるのが定番? おでんに入れてもいい。何にせよ下茹でしてから使う。根元に十字に切り込みを入れて、塩を少々加えた湯で2分ほど茹でる。熱々を頬張れば、ムハっとアブラナ科特有の香りが広がる。今回はこれに豚肉を巻いてフライにする。下茹でをした芽キャベツに、塩、こしょうをした豚の薄切り肉を巻き、小麦粉、卵の順にくぐらせパン粉をまぶす。中温の油で色づくまで揚げる。トンカツ+キャベツが小さなボールの中に収まっているような感じが面白い。レモン汁と塩、ソース、ケチャップなどお好みで。

プチヴェールはサッと茹でて、塩、こしょう、オリーブ油、ごく少量のにんにく(ボウルにこすりつけるだけでも)で和える。鮮やかな濃い緑色に紫色も見え隠れして、つやつやのフリフリが美しい。この食べ方が一番美味しいと思う。他には葉を剥がしてパスタと一緒に茹でたり、スープや味噌汁に入れても。

写真&文 中村 宏子