見島には、旅館が何軒かあります。
本村と宇津、二つの港のどちらにもあります。
私は友人の実家である、本村にある「岩崎旅館」に、いつもお世話になっています。
この六号室から見える景色を一目で気に入りました。
瓦の色がいろんな色合いで何色とも言いがたい色彩はグッときます。

「窓の下にある障子がいいですね」と聞いたら、「それは雪見障子っていうんだよ」初めて泊った時に、大工でこの旅館を作ったお父さんに教えてもらいました。
雪のあかりで、明け方ぼんやりと、そこから光が差し込む様子を、思い浮かべるだけで心が柔らかくなります。

ここは雪が降るのだろうか?
夏からは想像が出来ませんでしたが、冬に訪れた時に、雪は降りました。

冬は本当に風が冷たかったです。
風を弱める祈願として風祈祷というものが行われています。
どんなに風が強いか・・・察していただけるかと思います。
岩崎旅館の目前まで火事になった時、風が強くて、なす術もなかったそうです。
もうダメかと思ったそうです。
手前の空き地は火事の後の空き地です。

いつも帰り際に撮影させてもらう家族写真。

お母さんは、ハンドバック一つでこの見島にお嫁にきたそうです。
「瀬戸の花嫁」みたいなエピソードです。

そのお母さんは、見島に来てもう何十年も経つのに、18歳の子に「よその人」と言われるそうです。

「その子が生まれるずっと前からこの島にいるのに」

外から来る人はいろんな意味で尊敬の意味を込めて思われているそうで、それは、日本の他の島と似ているなと思いますが、外から来た人は、どんなに時を経ても、よその人なのかと思うと、本当に不思議ですね。

お母さんの作るわかめおにぎりのお弁当、
めちゃうまです。

写真&文 野頭尚子