草木染め-どくだみと枇杷の葉-
vol.6
この好機を逃してはなるまいと、クローゼットの引き出しという引き出しをひっくり返した。すると私の服はまあいいとして(まったくよくないけど)、目についたのが娘の衣類。正確には、服になる前の布たち。頭がお花畑だった妊婦時代、ベビーグッズの手芸本とともに、オーガニックコットンの生地を買いあさったのだ。しかもほとんどが白。あれもこれも作ってあげようと思いつつ、気づいたら娘はベビーではなくなっていた(いつの間にか二歳半!)。
毒草以外の植物であればたいていのものは染料になるらしいが、気兼ねなく採取できるほどそこら中に生えているものがいい。今の季節ならやはり、どくだみ。これなら近所にすさまじい繁殖力で自生している。
ちなみにどくだみは、古くから十薬あるといわれていて、葉を煎じて飲む他、白い花の部分は、焼酎漬けにすれば虫さされ後のかゆみ止めになる。煮出した液は湯船にたらして入浴剤に。残った葉は、冷蔵庫や靴箱に入れておくと消臭剤の役目を果たす。くさい、繁殖しすぎ、と嫌がられがちだが、ドクダミってなかなかやりおるのだ。
どくだみのあたたかな色味もそうだし、濃い緑をした枇杷の葉がこんなにも鮮やかな色を秘めているとは、草木染めって奥が深い。あの葉っぱならどんな色になるのだろうと、草木を物色しながらほっつき歩くたのしみも増えた。たで藍の苗も畑に植えたことだし、次は火を使わない草木染めもいいな。そういえば娘のパンツ……。いつになることやら。
写真&文 松田 可奈