お白湯、という言葉があるように、日本でも古くから健康法に取り入れられていたようです。伝統的な東洋医学に基づく“食養生”(しょくようじょう)を広めている食事療法士の辻野先生に、お白湯の効果を聞いてみました。

食養生でもお白湯はすすめている?

お白湯はおすすめですが、注意が必要と考えています。白湯の魅力の一つに胃腸をあたためることがあります。体温よりは高い温度で、季節や環境、体質にもよるでしょうか50℃ぐらいがよいでしょう。

体温が1℃下がると30%も免疫力が下がり、代謝は体温が、1℃下がると12%も低下するともいわれています。冷え症の原因は運動不足や住居、衣服のしめつけ、甘いものの過剰など様々ありますが、補水時の水温も臓器を冷やすことを通じ要因の一つとなりえます。

一日の適量はありません。のどの渇き具合を日々観察し、その時々の感覚に忠実に少しずつ飲むというようにします。お白湯を飲むことを習慣化することはよいですが、たまに思い出したように大量に飲むことは、逆にそのギャップが水毒を引き起こします。過ぎたるは及ばざるがごとしです。飲み過ぎにはくれぐれも気をつけましょう。

基本、水分摂取は過剰になると体液を薄めることはもちろん、水毒の原因にもなりえます。水毒は、身体の重だるさのほか、冷えや、低体温、むくみ、風邪をひきやすいなどの症状があります。飲んだら飲んだだけ健康になるような勘違いをしないようにしたいです。

さらに、冷たい水は肺や胃腸を冷やします。水分補給の観点からは、レストラン等で出てくるような氷を入れたような冷たい水はのど越し的には良くても内臓のことを考えるとNGです。

食養生では、実は“生水”がおすすめ?!

実は、食養生的な理想は生の水だと師匠より教わってきました。加熱するということはミネラルの状態も不自然になり死んだ水になると考えています。ただ、感染症予防や殺菌の観点からは、加熱した方がよいと考えます。

日本国内で天然の湧水が手に入るならいいのですが、水道水や一般的な人の手が入った水なら白湯の方がいい場合もあります。善し悪しより、習慣化することの方が大切なので、生水を日々飲める環境にない人には、白湯を飲む習慣をつけるのが適切かもしれません。

いつどんな時にどのくらいの量のお白湯を飲むといいのでしょうか?

白湯に限らず水分摂取としては、のどの渇きを感じた時。自分にとっての適量は日々変化します。自分の感覚に常々注目し、身体が出すサインを見逃さないようにしましょう。飲む際一番重要なのは少しずつ飲むということです。

一気にごくごく飲むと、水分が大腸から吸収されて、身体の水分量が足りていると脳が感じた時には既に、大腸をはじめ小腸や胃などに大量に水が入ってしまっており、後から後から体内に吸収されていき、結果身体が求めている以上に入ってきます。

のどの渇きを感じるのと同じく、のどの渇きがおさまった感覚にもしっかり注目する必要があります。

睡眠時の発汗などにより、脱水のリスクが生じます。そのリスクを回避する意味で、寝る前と、起床時に飲むのがよいでしょう。

それとアルコールを摂取した時もアルコールの利尿作用で体内の水分が不足しがちになるので摂取が必要となります。

☆ のどの渇きを感じた時、少しずつ飲む
☆ 寝る前と、起床時に飲む
☆ アルコールを摂取した時

食前や食事中は、消化酵素を薄め消化に負担となるので、控えた方がいいタイミングです。

食養生におけるお白湯の効果はなんですか?

冷水を飲んでいた人にとっては、内臓を冷やさなくなる効果として、胃腸の働きを取り戻すこと、肺を冷やさないことで、肺の働きである「気」を全身にめぐらすことや換気など様々な機能の回復が期待できるでしょう。

身体が求めていないのに飲むことは、水毒をまねくだけなので、安易に飲まないように気をつけましょう。

お白湯をつくるときの注意点

水道水は塩素消毒がされており、また上水道の水道管の状況から、発がん性が指摘されているトリハロメタンの発生が起こり得ます。沸騰させた際にトリハロメタンが発生し沸騰直後が最大になります。水道水を沸かして白湯を作る際は、沸騰後、弱火で15分程度沸騰を続け揮発させてから、白湯にした方がいいでしょう。

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アーユルヴェーダと食養生で、共通するところは、自分の体のコンディションをみながらお白湯を取り入れましょう、という点ですね。異なっているところは、食事に際してお白湯は、アーユルヴェーダでは消化を助ける、と考え、食養生では消化の負担になる、という点です。本来和食は、水分がたくさん含まれているので、食事をしっかり咀嚼すれば、別に飲み物を必要としない、という考え方があるようです。なにを食べているか、にもよるかもしれません。(七戸)

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アーユルヴェーダでのお白湯の効果はこちら

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